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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【14章・女神は振り向いた】
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【14ー9】

【14ー9】


「このまま突っ切れれば」

「そうもいくまい」


目と鼻の先、空気が震えた。咄嗟に美樹はスライドシフトを発動する。前のめりになった自分の身体の位置を「ずらす」。

寸前まで美樹が居た場所が砕けた。地面が砕け破片が舞い上がる。


「!?」

「別働隊が居ると思っていたが、やはりか」


美樹の前に立ちふさがったのは長身の女性だった。無造作に束ねた黒い髪。切れ長の目。


「ここで止めさせていただく」

「参ったな、なんでバレたんだよ。学校サボって遊びにきた女子高生にしか見えないだろ?」

「銃持って防弾チョッキ着込んだ女子高生がいるか」

「背伸びする方向を間違えた精一杯のオシャレだよ」


璃瑠が美樹の背にそっと近寄って囁いた。


「私が引き受けます。美樹さんはグングニルへ」

「だけど」

「黒蛇の拡張バレルの威力ならグングニルの魔力弾射出サーキットを破壊出来る筈です。私には有効な射撃オプションはありません」

「分かった。無理はするなよ」

「美樹さんも」

「何処で迷子になってても見つけてくれるんだろ? なら安心して突っ走れるよ」


美樹が黒蛇を構える。そして女性の元へと駆け出した。

璃瑠がそれを見て地を蹴り飛び上がる。


「一人で引き受けようと?」

「そうだよ!」


女性の手が動いた。美樹がそれを見て左手で閃光手榴弾を放り投げた。爆発音と同時に閃光が膨張する。周囲から悲鳴が上がる。

その光が終息すると、美樹の姿は女性の前から消えていた。

そして空中から璃瑠が霧風を構え飛び込む。


女性が飛び退いて璃瑠の霧風が空を裂く。

璃瑠がそれを追い飛び上がる。


「姑息な」

「あの人馬鹿ですから」


璃瑠が一気に距離を詰めようと空中を飛ぶ。女性の手が動いた。璃瑠の目の前で爆発が起きた。咄嗟に張った魔力盾に衝撃が伝わる。


「これは……?」


女性は何も持っていない。何かの魔法か。

璃瑠の魔力盾に再び衝撃が伝わる。断続的に伝わるその大きな衝撃に吹き飛ばされそうになる。

弾丸を受け止めた様な感触だったが、女性の手にも盾にぶつかるものも何も見えない。


「自分は入曽いりそ。5ナンバー・コンプレッサーを持つ魔法使いである」

「……落合璃瑠」


入曽の名乗りに一言返すと璃瑠は霧風を構え直す。

コンプレッサー、名の通りなら圧縮という意味になるが。


「空気圧縮。圧縮した空気を撃ち出せば弾丸になる。極限まで高めれば爆発となる。もはや、お前の周囲全てが自分の武器というわけだ」



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