[14ー3】
【14ー3】
「好きです、美樹さん」
璃瑠の言葉に私は動揺する。
そんなのはずるいと思う。
璃瑠の目から視線を外せないまま私は何も答えられなかった。私は璃瑠を救っていたのだろうか。
璃瑠の目から視線を外せないまま私は思う。私は璃瑠の事をどう思っていたのだろうか。
璃瑠の背には東京の街並みが浮かんでいる。この街に一体どれだけのモノが眠っているのだろうか。ひた隠しにされているのだろうか。
「私は……」
「あなたが何の意味もないなんて思っていたってわたしのこの感情は本物です。あなたがくれたモノです」
だからそれさえ無駄なんて思ったら、私の今までが無駄だったなんて思ったら、璃瑠の気持ちまで否定した事になってしまう。
けれど、こよりは死んだ。世界を変えようとして私を庇い死んだ。
それじゃあ、私達の軌跡は何だ。何だったのだ。
バッドエンドってやつだろうか。
誰もが幸せを望んだだけだった筈なのに。私は誰の不幸を望んだわけでもなかった筈なのに。
「答えは無くても良いです、でもこれだけは、私の気持ちだけはあなたに知っておいて欲しかったから」
きっとそれは本心であった。璃瑠の正直な気持ちだと私は感じた。だからこそ、その真っ直ぐな言葉に私は答えられなかった。
どんな答えだろうと、それはきっとズレを生んでしまうだろうと思ったから。
「あなたの全てを否定なんてしないでください」
「璃瑠、私はーー」
張り詰めた私と璃瑠の間の空気を断ち切る様に私と璃瑠の携帯が同時に鳴った。
確認するまでも無く六課であることは明白だった。
電話先の八坂が慌てた口ぶりで出た。
『今、二人とも何処ですか!?』
「璃瑠と一緒に港区にいる」
『六課に戻れますか!?』
「大丈夫、何があったんすか」
『独立派が、声明を出しました』
ついに動きを見せたというのか。
「それで、なんて?」
『独立特区の成立を要求するとのことです』