【14ー2】
【14ー2】
周囲からぽつねんと浮いた赤い電波塔のエレベーターを出ると、全面ガラス張りの明るい展望台に出た。
「東京タワーに来たかったのか?」
「来た事無かったんです」
修学旅行らしき学生服の集団の脇を通ると、スカイツリーじゃねぇのかよ、なんて声が聞こえた。璃瑠がポツリと、ごめんなさいと苦笑した。
占拠テロを受けてスカイツリー周辺は未だ封鎖中であった。
璃瑠は少し迷ってから目当ての方角を見つけたらしく美樹の手を引いて前を歩いていく。
ガラスの前で璃瑠が立ち止まると美樹はその横に並ぶ。
「ここからだとスカイツリーよく見えますね」
「そうだな」
「高田梨花は救われました。それによって石神佐樹も」
高田梨花は石神佐樹の言葉によって自分の居場所を存在価値を見出した。誰かに必要とされている、それは特別な事でもなく特別な事をして帰ってくるものでもないと。
「救ったのは璃瑠だ」
「あの時、高田梨花にいつかの自分の姿を私は重ねていたんです。戦わなきゃ、こんな自分に居場所なんてないと頑なに思い込んでいる自分を。だから、私は彼女を止めたくて、そんなの違うって言ってあげたくて」
「そう思える様に成長した璃……」
「美樹さんのお陰です」
璃瑠が美樹の手首を掴んで引き寄せる。胸の前で美樹の手を両手で包み込む。
「あなたが私を、私の事を大切だって言ってくれたから。アルカナなんて関係なく私は私だって言ってくれたから。
あなたが私に出会わなければ、あなたが高田梨花を知らなければ、あなたが石神佐樹へ言葉を伝えなければ、どれか一つがかけてしまっていたのなら、そうしたら救われなかった。
あなたが無駄だった、何の意味も無かったって切り捨てた事達が私達の運命を変えたんです。あなたがその運命を認識したんです。
それを無下にするなんて寂しいじゃないですか」
「……私は……」
手に入らないものがあった。
取りこぼしたものがあった。
届きもしないものがあった。
誰かをまた傷付けて何を手に入れたのか。
何も手の内には残らなかった。
鷺ノ宮こよりに何も出来なかった。
残ったのは虚無と嘆きだけだと思っていた。
けれど、それは違うと璃瑠は言う。
「でも、こよりを救えなかった。それだけは、それが成し遂げられないんじゃ私はなにをしてきたのか意味を見出せないよ」
「あなたの道程は無駄なものなんかじゃありません」
「好きです、美樹さん」