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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【13章・塔は開かれた】
236/282

【13ー5】


【13ー5】


落下していく美樹はぼんやりと目を開けようとした。

何処まで自分の身体か分からない。何処まで保っていられているのかも分からない。何かが流れ出て行くのは分かる。

目を開けても視界は開けなかった。


力を入れても入っているかが分からない。落ちていく。風がただ受け止めることもなく邪魔もせずただ流れていくだけで、落下は止まらない。

意識が泥の中に沈んで行く。

身体中の熱さがぼんやりと痛みへ変わっていく。激痛へと変わって喉の奥から悲鳴が漏れる。


身体中を打ち付けられた鈍い痛みが這う。指の端から心の奥まで一つの感覚に支配されて行く。

口の中の血糊を吐き出した。

耳鳴りが風の音と混ざって脳内を叩く。

眼球の奥で針が転がっている様な痛みが肉を突き刺す。爪の中まで血の色で染まる。


「こんな、こんなところで私は」


美樹の視界に黒い影が見えた。

石神佐樹が美樹へ向かってハンドガンを、ぶっ放した。風を切る軽い音が走り閃光が美樹を貫いた。


「ぁぁっあ!」

「ここで堕とすんじゃなかったかしら」


石神佐樹がハンドガンを連射する。美樹が魔力盾を貼るも、魔力弾が直撃した衝撃に美樹は吹き飛ばされる。


「あなたは危険すぎる、だからここで!」

「っーー」


ここで死んでも良いかな。

死ぬのかな。


『こんなの嫌だよね。おかしいよね。何も分かってないくせに、分かったふりして、ワケもワカンナイで、がむしゃらになるんだよ』


石神佐樹の放った砲撃を美樹が魔力盾で受け止めるもその威力に押され美樹は遥か後方まで撃ち落とされた。

スカイツリーの脚の鉄骨に背中からぶつかると声にならない悲鳴が漏れた、音だけでなく血も漏れる。


必死に鉄骨の上に着地する。不安定な足場で足元がよろめくのは強い風のせいだけではなかった。視界に透明な結晶が映り込む。定まらない視界の先に石神佐樹にだけ焦点があっていた。


視界の半分が暗転している。

背中の痛みがこめかみにまで響く。生暖かいものが身体中を伝いすぎて何処まで無事なのかも分からない。


「こ……れで……満足、……なのか。私が……死ねば……、あ、のこ……は救わ……れる……のか」

「命乞いに付き合う気もないわ」

「あん……たが私を……殺せば高……田梨花は……幸せに……なれるのか」


石神佐樹が不快感に顔を歪める。

そんな筈などない。目の前の敵を何人倒した所で高田梨花が救われるわけではない。助かるわけではない。

だからといって、どうすれば良いと言うのだと。


「何も知らないくせをして」

「自……分だけ……が背追い込ん……でいると……思う……なよ」

「あの子の命まで背追い込んでいる人間がいるものか!」

「なら……背追い込……んで……いる……あんたは、こ……れで……正しいと……思う……のか。これで……あの子が救われ……ると思うのか……!」


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