【13章・塔は開かれた】
【13章・塔は開かれた】
東京スカイツリーの第一展望台を中心として展開している独立派の魔法使いの数は50。殆どがマギア機関によって魔法を手に入れたもの達ばかりであった。
第一展望台までは地上から300メートル。エレベーターは封じてある為、突入する方法は二つしかない。
ヘリによる接近か。
魔法使いの投入。
「そして後者を選んだようね」
佐樹は愛銃のチェックを済ませると、無線に手を延ばした。
「石神より全員へ。政府は我々の要求への返答もなく制圧を選んだ。各員持ち場につけ」
政府がどれだけの戦力を投入してくるのか。投入出来るのか。
魔法使い50人を相手にし、更に高度300m付近で戦えるほどの魔法使いのストックはあるのだろうか。
スカイツリーの展望台、ここから見下ろす景色は余りにも遠く届きそうもない。梨花が佐樹に声をかけた。
「佐樹ちゃん」
「乗り切るわよ」
「うん!」
長い言葉はかけられそうになかった。余計な事を、気持ちを零してしまいそうであったから。
終わらせて、そうして全てを終わらせる。
美樹は煩わしい無線を垂れ流すヘッドセットを耳に突っ込んだ。風が強い。
東京スカイツリーの周辺空域には魔法使いが大量に
展開しているらしい。それを突破する。
陸自の魔法使い連隊から一個中隊が派遣されてきている。それだけ、上は迅速な解決を期待しているということだろうか。
空へ向かいそびえ立つその塔は全てを拒んでいるように見えた。全体無線でなく、個別無線が璃瑠から入った。
『美樹さん、……その無理はしないでください』
「璃瑠、お前は展望台へ突っ込め、他は無視して良い」
『美樹さん。なんて言って良いのかわかりませんが、彼女の死は決して』
「ではいくぞ、璃瑠」
今はそれだけだ。