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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【12章・太陽は沈んだ】
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【12ー12】

【12ー12】


美智の動きが止まった。飛び出したこよりに止められて。

声は出せなかった。

こよりが身を挺して私を庇ったのだと理解出来ずに。こよりの張った鎖は網の目のように無数に絡み合い壁となっていた。しかし、それが美智に到達する前に彼女は距離を詰めていた。鎖は美智の背になにも掴むものもなくただ存在しているだけだった。

だから。


美智の刃を止めたのは鎖ではなく、こより自身だった。


「これで……満足なの? ねぇ? こんなのは可笑しいよ」


こよりの身体を貫いて、その切っ先から血が伝う。

美智の前に立ちふさがり足を踏ん張り、その身を追いたて立たせる。

美智の手が緩んだ。口の端から壊れた笛のようなか細い音を立てて息が漏れる。開いた瞳孔が視点の先を探して震える。

動揺した美智にこよりは食いしばった歯の隙間から声を漏らす。


「わかんないけどさ、こんなのは違うってわかるけどさ、もうやめよう? あたし、こんなの、誰もこんなの、違うってわかるけどさ、きっと君のやろうとしている事も違うよ。欲しかったセカイと違っても、望んだセカイと違っても、あたしたちはそれを壊しちゃいけないんだよ。向かい合って変えて変わっていくしかないんだよ。だからもうこんなのはやめようよ」

「……あ、たしは……なんに……も……こんなの……」

「こより!」


私は腰のホルスターからハンドガンを引き抜く。セーフティを解除して駆け出す。美智が私の姿を見て彼女の懐からハンドガンを抜き出した。

互の銃口が向き合う前に銃声が響いた。


「ーーっぁ!?」

「もうこんなの終わりにしよう、もう良いんだよ」


美智の胸から血が溢れ出す。こよりが片手で握ったハンドガンから放った銃弾が美智に風穴を開けた。

美智の左手が何も掴めずに彼女の身体は前のめりに倒れて行く。それを見てこよりは力なく倒れた。


「こより! なんでこんな!?」

「ねぇ美……樹ちゃん……」


こよりの身体から溢れ出る赤が止まらない。こよりの身体を深く貫いた刀で私は右手を切ったがそれも気にならなかった。

弱々しくこよりは言う。


「こんなの嫌だよね。おかしいよね。何も分かってないくせに、分かったふりして、ワケもワカンナイで、がむしゃらになるんだよ」

「こより! しっかりしろ!」

「あたしたち、あたしが欲しかった世界は手に入らないのかな。欲しかったな……。

ねぇ美樹ちゃん。

美樹ちゃんの言葉はきっと正しいよ、そしてあたしが欲しくて、あたしが探してた言葉だよ」

「こより、死ぬな!」

「ごめんね? ごめん」




その日。

私は大切な人を失った。何も出来ないまま。


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