【12ー2】
【12ー2】
「適当に座ってくれ。あぁ、それとストーブをつけてくれないか、脇に赤いボタンがあるからそれを押してくれ」
流される様にして私達は新宿の家へと招き入れられた。新宿がビニール袋をテーブルに置くと中から食料品を次々と取り出す。
「アカとシロどっちだ?」
「ワインの話なら未成年だよ」
「政治の話だが?」
「ワインの瓶片手に聞くとそうとは思えないよ」
璃瑠が私の後ろでキョロキョロしていた。
「にしてもこんなに早く来るとは思えなかった。他のは後から来るのか? いや、別々か」
「……あんたは何を言っている」
「あと三人来るだろう? 伏見だったか、お前が来るのは予想外だったが」
「は?」
「食器足りないからプラスチック皿だが勘弁してくれよ」
私が聞きたいのはそういう事じゃない。
「あと三人とはどういう事だ」
「お客さんが来るんだが? オレはてっきりお前らのお仲間かと」
「私達が来るのを知っていたというのか」
「そうだが?」
「どっから情報が漏れてる、政府筋のパイプラインがあるのか?」
「あー勘違いするなよ、もうそういうのは一切お断りだ」
「ならあんたは何故私達が来るのを知っていた、そしてあとの三人と言うのは誰だ」
新宿が忙しそうな手を止めた。私の方にオリーブオイルの瓶を向けた。
「伏見、お前魔法使いだな」
「そうだよ」
「なら魔法を信じているな? 5ナンバーは?」
「信じているし、私自身5ナンバーだよ」
「オレには特殊な力がある。未来予知だよ」
「未来予知……?」
「五人、それだけの来客がここに来る。その映像が見えた」
「んな馬鹿な」
未来予知だと。それによって私達が新宿を訪ねる事が予測の範囲内だったというのか。
第一未来予知などという魔法が、存在し得るのか。
「なら、用件も分かるのかしら?」
「!?」
知っている声がした。嫌な記憶が過る。
「弘佳に美智!?」
「勝手に上がらせて頂きましたわ」
この二人が来客だというのか。
突然家に押しかけられたにも関わらず新宿は余裕そうに笑った。
「役者が揃って来たな。それと久しぶりだな美智」
「なんであんた達が」
「こちらのセリフですわね」
こんなところで顔を合わせるとは予想していなかった。
どうする。腰のハンドガンのグリップを指の腹で触る。
「ストップだ。オレの家に揉め事は持ち込まないで欲しいな。それにまた誰か来た様だぞ」
「ごめんくださーい! あのー宅急便でーす!」
また知っている声がした。忘れられる筈がない、勘違いしようもない声が。
「下手な小芝居は良いから上がって来い」
足音騒がしく一人の少女が顔を出した。
「おお、なんだこりゃ。オールスター集結? 集合?」
「鷺ノ宮こより……」
私に璃瑠、弘佳に美智、そしてこよりと、あまり嬉しくないメンバーが揃った。
「なんなんだ、こりゃ」
「さて食事にしようか」