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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【11章・魔術師は夢見た(前編)】
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【11ー19】

【11ー19】


『計画はどうかね』


野方はワイングラスを揺らしながら夜景をぼんやりと眺めていた。通話相手すらもどうでも良くなってくる。


『こちらは手筈通りライフルを十丁用意した。人員も問題ない』

「計画に何の支障もないよ。しかもだ、タイミングよく革新派が大規模なテロを起こしてくれた」

『新宿のは凄かったようだな。高層ビルが消えたと』

「国内感情は弱腰の政府への不満が高まり、移民政策も多大なバッシングを受けている。更に不審船事件も親中派の政権のせいでグダグダだ。下地としては申し分ない。そこへ今回のテロ。計画を実行してくれと言わんばかりだよ」

『後はスキャンダルの一つでもあれば完璧だが、このタイミングをのがしたくはない』

「それに関しては手を打っているよ。計画実行は来週中に行う」

『そうか、成功を祈る』

「祈るまでもないさ」


通話が切れた。東永井ビル消失現場の報告書を眺める。

それは期待はずれなものであった。高濃度の大量の魔力が流入しただけで、変わった物質の一つも確認されていない。

だがそれで十分であった。野方の考えを裏付けるのにはそれで十分であった。


「失礼します」

「あぁ」


佐樹が野方の部屋を訪れた。何か決めたような表情を見せる佐樹に野方は優しく声をかける。


「何か用かな?」

「梨花の容体が芳しくない。これ以上あの子を使うのはやめて」

「しかし、それは彼女自身が拒否するのではないかな」

「だとしてもあの子を死に急がせるわけにはいかないわ」

「君ですら止められないのだ、私に出来よう筈がない」

「指示を与えなければ良いわ」

「彼女は嫌がる」

「それだって生きてこそよ」

「……分かった。彼女を前線から外すよう努力しよう。

だが、次の計画ばかりは彼女の力が必要だ」

「それであなたの計画は最終段階に入るというの?」

「あぁ。ようやくだ。この国が変わる時がきた」

「乗りかかった船であろうと、あなたの言う理想が、追い求める末が、どんなものであろうと私にはどうでもいいわ」

「けれど君も信じた道だ。完璧な正義という理想を」

「そうね、でも正義なんてものそこら中に転がっているのだとも知ったわ」

「なら君の言う正義とは何かな。私の想う国の行く末ではダメなのかね」

「あの子が笑うなら何だっていいわ」

「ならそれは何をもってして満たされる」

「少なくともあの子が戦い続けた末にはあり得ない」

「それを決めるのは彼女自身だ」

「あなたがそんな個々性を重んじるとは思わなかったわ」

「私はいつであろうと自主性を尊重しているさ、君たちの処遇のようにね」

「あなたのいう理想とは随分違うようだけど」

「自らの内に指標を持たない者と確固たるモノを持つ者は違う。君たちは後者だ、尊敬に値すると私は思うがね」

「……。」

「私が忌み嫌うのは前者だ。だがらこそ、私は彼らの為に尽力するのだよ。正しき道標を立ててやらねばならない」

「政府の解体、そして新しい政府の立ち上げ」

「国民を導く強い国だよ」

「魔法使いの国……」

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