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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【11章・魔術師は夢見た(前編)】
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【11ー15】

【11ー15】


こよりが銃口を弘佳に向けたまま言う。


「知ってること洗いざらい話して、そしたら解放するから」


弘佳は観念したように語り出した。


「本来アルカナ計画とは、上位次元との接触の際に確認された上位生命体へと近づく為のものですわ。完璧な魔法使いならば、上位次元との接触もアルカナへの進化も可能とする考えを根底としていますわ」

「……計画は思った以上の成果を上げれず、もう一つの派閥が生まれました」

「内部で意見が割れたってこと? こと?」

「アルカナへの進化の為の完璧な魔法使いではなく、兵士としの完璧な魔法使いの完成を目指すべきとの意見が出たのですわ」

「……その完成型が」


私の横で璃瑠が小さく舌うちをした。

落合璃瑠。アルカナ計画の唯一の成功例。


「ですが、本来の計画である次元干渉を可能とする魔法使いも生まれていたのですわ。それが美智。けれど完璧な兵士としての魔法使いの完成を目指す方向へシフトしていたため、落合璃瑠を成功例としか認めず、その後計画は上層部の判断で破綻させられると落合璃瑠だけを残しその他を処分し計画は封印させられたのですわ」

「処分って……」

「……殺された。たまたま生き残った私を除いて全員が」


美智は憎しみのこもった声を漏らす。


美智の璃瑠へと向かう異様な殺気はこのせいか。

本来なら成功例として認められた自分は認められず、璃瑠だけが認められ。そればかりでなく殺されかけた。

人類を次ぎなる進化へと導くという矜恃もあったのかもしれない。

それを否定されたのか。


「アルカナ計画の成功例である美智なら次元干渉が出来るってこと? 出来る?」

「……現にしてみせました」


その結果、全てが消えた。しかしその結果は弘佳や

美智にとって想定外のものだった。莫大な魔力エネルギーが流入したのは確かだ。だがそれによって全てが消えるという結末は確かに理解出来ない。

起こるとすれば前回の新宿大規模爆発事件と同じように消し飛ぶだけだ。

それにあの時の記憶の交錯は何だ。他人の脳を直接覗いたかのようなあれは。


「じゃあ、あの記憶が見えたのは何だ?」

「ですから、あの場で起きた結果は全て想定外だったと言ってますでしょうが」

「美樹ちゃん、ちょっと話逸らさないで。次元干渉ってどうしたら出来るの」

「……次元の接点が見えるから、そこを中心に術式を組んで崩壊させます」


さっきからオカルトくさい。いや、魔法自体もだいぶあれだけど。


「もう十分でしょう?」

「最後に一個だけ」


こよりが鎖を解除した。

自由になった弘佳と美智が立ち上がる。


「まだ続ける気なの?」

「わたくし達は降りませんわよ」

「沈みそうな船でも?」

「なら泳げば良いですわ」

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