【11ー13】
【11ー13】
『突入部隊、人質、テロリスト、そしてあのビル全てがロスト。これを全滅と言わずしてなんというのかね!』
『独立派の武装グループは今も事件現場を占拠しています! 直ちに部隊の派遣を!』
『まずは真相解明が先でしょうが!』
『部隊を出そうにも何処のや!? 六課はアテにならんで!?』
私は無線の音声を切った。
「んで、何を始めようってんだよ。反省会か?」
「美樹さんなら手慣れたもんですね」
「そうそう、毎日が反省会だからな。っておい」
「緊張感の欠片もありませんわね」
こよりの助けで現場を脱出した私と璃瑠、弘佳と美智。そしてこよりの五人は現場近くのビルの一室で睨み合っていた。
互いに銃口を向けたまま、口だけを動かす。
「とりあえず武装解除しないか。このまま撃ち合う気はないんだろ? 話し合うなら武器捨てたほうがいい」
「でも落とし所がないよね、ないなーい」
「話し合いで何を解決するんですか、この状況で」
「武装解除すれば、そこの落合璃瑠が圧倒的有利ですわ。その手には乗れませんわね」
「……まず、鷺ノ宮こよりはなにがしたいのですか」
「おお、あんたのハンドガン、SIG P239か」
「美樹さん、銃マニアの趣味は今は抑えてください」
「P239は有名だから、割とみんな知ってるんじゃないかな、うん知ってる知ってる」
「私は銃マニアじゃねー!」
「緊張感の無さは余裕の裏返しですわね」
「……もう帰りませんか?」
「そうですね、塀の中に帰って欲しいですね」
「あたしは帰らない、帰らない帰らない帰らない」
「捕まったことねーだろ」
「今ここでやりあえばただでは済みませんわよ」
「……試してみますか?」
一瞬だった。璃瑠が美智の放った弾丸を掻い潜り、弘佳の喉元へ辻風を突き付ける。弘佳はそれを受け止め璃瑠へ銃口を突き付ける。璃瑠を狙って美智がとびこもうとし、それに立ちふさがるように私は美智へ銃口を突き付けた。
「あれ?」
一瞬の光景。互いに仕留め損ねたまま、動けない。そんな中、間の抜けた声がした。
あぶれるようにして、誰にも狙われず自由になったこよりが笑顔を作る。
「3.02B-04Uリアクトチェーン」