【11ー12】
【11ー12】
「状況終了。現空域に戦闘反応なし」
『了解。下はこっちに任せていい。マギア兵の実地テストも兼ねる』
マギア機関。小型動力炉による人口的に魔力を生成する機関。それを利用した魔法使い「もどき」をマギア兵と呼んでいた。
手も金も掛かった代物、独立派の野方グループの虎の子であった。
「(実際大したものだとは思うわ)」
梨花奪還の際に引き連れて行ったが、魔法使いと謙遜ない能力を有している。魔力生成サーキットがどのような仕組みかは知らないが、普通の人間でも魔力生成能力さえあれば魔法使いに近い存在だというのがわかる。
だが、しかし魔力というものは人間の一定周波数以上の脳波に反応する筈だった。マギア機関により生成された魔力を操作出来るのなら、何故魔力を生み出すことは出来ないのか。
魔力生成と魔力操作には根本的な違いがあるのだろうか。脳波の周波数が違うのか。
佐樹はそこで考えるのをやめた。魔力生成も魔力操作もそこまで考えてやったこともない。
自分が考えることでもないし、考えても分からない。
「マギア兵が居れば戦力も十分整う。あとは、時間との戦いだわ」
『佐樹ちゃん』
「梨花?」
無線の先から梨花の呼びかけが聞こえた。梨花は後方待機の筈であったが、何かあったのかと不安になる。
「なにかあったの?」
『ううん。そうじゃなくて、お疲れ様って言いたくて』
「たいしたことじゃないわ」
『それと、佐樹ちゃんと戦ってた魔法使い逃しちゃったんだけど平気?』
あれだけの魔力砲撃を直撃させた。無事だったとしてもまともに動けないと思ったが、逃げ失せたのか。
『なんか魔法使いがもう一人居て、その人に邪魔されちゃった』
「別に構わないわ。目的とは関係ないことよ」
魔法使いがもう一人。鷺ノ宮こよりか。
革新派であるが、公安六課の二人も助けたというのか。
そんなことはどうだっていい。
今優先すべきことは梨花を救う。
それだけだ。
そのためだけにここにいる。
「(あの子の寿命がくる前に)」