【11ー11】
【11ー11】
抵抗すら出来ない。ただひたすらに押し潰される。
5ナンバーとはここまでなのか。
本気の佐樹はこれほどなのか。
全ての勢力を相手にするという選択肢が彼女にはあった。それが可能であった。
現に全ての魔法使いを無力化させてみせた。
「これは……これほどとは」
「3.02A-04Qアサルトビット」
佐樹の周囲を眩い光が走る。光の軌跡が零れるようにしながら結晶へと変わっていく。光の線が液体へ、液体が結晶へ。
佐樹が左手で無数の結晶へ天命を伝える。
「貫け」
無数の結晶が射出された。それは美樹をはじめとし四人の魔法使いへと向かう。
このプレッシャーの下で満足に動けない以上回避は不可能だった。
美樹が魔力盾を張る。
「ちぃ!」
佐樹の魔法が魔力盾に直撃した。
細い針の様な無数の魔力弾が盾に突き刺さる。突き刺さった魔力弾に後続の魔力弾がぶつかり爆発を起こす。
「ーーっ!」
息が苦しい。飲み込もうとする空気が重い。飲み込めば重たく身体を沈めようとしてくる。吐き出す空気が口から出ていかない。
重たい空気で身動きを取ることすら許されなかった。
「全て堕ちなさい、3.02A-05Tインペリアルジャッジメント」
佐樹が自身の前に巨大な光球を生成した。それは周囲の魔力を吸収しながら鼓動し巨大になっていく。
それに向かって佐樹は腰から提げたレールにハンドガンを直結させる。
星砕が起動する。
「終いね」
星砕のレールバレルの銃口から閃光がはしった。
魔力砲撃が光球へぶつかると、光球は破裂し無数のビームをばら撒いた。
「圧縮した魔力同士をぶつけて爆発させたのか!?」
雨の様に閃光が降り注ぐ。それはゆっくりと、いや悠然と。身動きの取れない物達へ見せつけるかの様に。
雨の如く大量の魔力が全てを塗り潰した。
「状況終了。現空域に戦闘反応なし」
佐樹が無線に対してこう告げた。
圧倒的な強者として、彼女は一人佇んでいた。