【11ー9】
【11ー9】
璃瑠に抱えられるようにして高高度に急上昇した私の眼下に広がっていた光景が消えた。ビルの屋上が。さっきまで私達がいた場所が。
そしてビルすらも。
「消えた……?」
夢でも見ているのか?
「何もかもが消えた」
眼下に広がる景色は何もなかった。そこにあるのは、新宿の街並みに一箇所空いた空間。東永井ビルが消えていた。今まで何もなかったかのように。
私を抱えて飛ぶ璃瑠に声をかける。
「璃瑠、もういい離せ。私一人でも飛べる」
「嫌です」
どんな駄々をこねているんだ。
璃瑠が私の背中に顔を押し付けて呟いた。
「今離したら美樹さんまで消えそうで」
「……馬鹿いうなよ、私は消えないよ」
「本当ですか」
「消えねぇよ」
何も残っていなかった。ビルの破片すら。まるで存在していなかったかのように。そして、入間沙織も消えた。
璃瑠が私を後ろから強く抱きしめる。その存在が確かな安らぎを伝えてくる。私と璃瑠は消えずにここに居るという事実でほっとする。
「一体何が起きたんだ?」
「分かりません」
わかる筈が無い。だが、誰かに答えて欲しかった。不安に飲まれてしまいそうで、そのまま私達まで消えてしまいそうで。
他の人はどうなった。
「3.02A-05Jフェーズフローズ」
「!?」
「下からの攻撃!?」
咄嗟に私は盾を貼る。盾に白い何かが勢いよく直撃し、盾が砕けた。
美智だった。それに気を取られた隙をつかれ私たちのギリギリを矢が通過する。
「この状況でまだ戦うっていうのか!? あんたたちは!」
何故戦う。
弘佳達の目的は、高次元との接触だ。
「穿て、2.01A-02Vヴァンデッドブリンガー」
何のために。
そしてそれは果たされた。
「美樹さん!」
抵抗なのか。
それとも。
何が。
「5.02Bプレッシャーリージョン」
何処かで声がした。