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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【11章・魔術師は夢見た(前編)】
200/282

【11ー4】

【11ー4】


「弘佳は何をしたい」

「人類を進化へ導きますわ」


それはいつか交わした言葉。誰かと交わした言葉。

弘佳の決意は変わらない。変わったことはない。人類を進化へ導く。それだけだった。


「弘佳は何をしたい」

「人類を進化へ導きますわ」


もし、誰かの命を呼び戻すことが叶うなら。

もし、いつかの時へと帰ることが出来たなら。

それをきっと願った。


「弘佳は何をしたい」

「人類を進化へ導きますわ」



兄は死んだ。異国の地で。中東の片隅で。

恐らく日本人の100人のうち1人も、1000人のうち1人も、10000人のうち1人も生涯のうちにその国に踏み入れることはないだろう国で死んだ。

そんな国の平和を願い、その為に働いた。

その兄は祖国解放を謳うテログループの凶弾に倒れた。皮肉にも平和を願ったものは、平和の為に戦うものによって死んだ。


「弘佳は何をしたい」

「人類を進化へ導きますわ」


誰を恨んでも仕方がなかった。きっとこの問題は、誰も悪くないのだと思った。だから、きっと解決策などない。

人が人である以上。


「弘佳は何をしたい」

「人類を進化へ導きますわ」


だから、弘佳は人類の進化を願った。この悲劇など起こり得ない世界へと向かうことを願った。

人が、世界がこの段階にいる限り全ての問題は終わらない。誰もが笑顔になれる魔法なんてものはこの世にない。

この手にあるのは魔法。誰かを幸せになんて出来ない魔法。

ぶつける場所のない憤りの突き動かされて。


「弘佳は何をしたい」

「……泣きたい。」

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