【11ー2】
【11ー2】
アルカナ計画は、我々が認識している次元とは違う次元との接触の際に確認された生命体へ近付くための、つまり人類の更なるステップアップのための、計画であった。
我々が認識している現在の次元(ここでは便宜的にγ次元とする。)の内包する法則では魔法の存在は説明出来ない。
故に一つの仮説が立てられた。
魔法はγ次元より上の次元(ここでは便宜的にΣ次元とする。)のものではないかと。
この一見夢想じみた仮説はメビウスの帯や、クラインのつぼの様に、次元間の認識齟齬を根底としている。
魔法という結果を我々は認識出来るも、そこに至るプロセスを我々には理解出来ない(Ma元素という仮説により整合性をとろうとしているが)。
故に魔法は別次元の産物であるという仮定が生まれた。この仮定はとある出来事により大きな力を持つこととなる。
Σ次元との接触である。これにより、上記の仮説は一気に真実味を帯びた。これを受けて行われたのが
アルカナ計画。
強化人間による完璧な魔法使いを生み出すというこの計画に素体として選ばれた一人の少女がいた。
『心拍数安定圏内。室内Ma元素濃度平常値。』
『了解した。被検体06、始めろ』
「……了解です」
ガラスの向こう側からのスピーカー越しの指令に美智は返事をした。身体中に取り付けられた計器を少し鬱陶しく思いながら、美智は手をかざす。
指先で空をなぞった先から光の線が散らばる。
「……。」
美智がその手に力を込めると空気が踊ったように見えた。光の線は崩壊しながら爆発した。それは連鎖し美智の周囲で爆風が踊る。
魔力盾を周囲に張り巡らせ爆風の真ん中で美智は更に力を込める。
イメージのままに。誰に教わるわけでもない。
自らの期待する結果になるように手探りでMa元素を動かす。
『OK。データは取れた。終わっていいぞ』
締めに一度大きめの爆発を起こして美智は魔法発動をやめた。
「……焦げ臭い」
晴れていく視界の向こう側で重厚な防護扉が開くのが見えた。
扉から歩いて向かってきた白衣の女性が手招きをした。
「被検体06、いや美智。206フロアへ移動……いやまずシャワーを浴びてこい。焦げ臭い」