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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【一章・少女は欺いた(後編)】
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【1-18】

【1-18】


 関さんの案内の下、何故か薬師寺早苗も引き連れて私たちはまず教材室に着いた。

 幾つか教材室はあるそうだが、ここだけがあまり使われていないそうだ。

 部屋に入ってみると窓が無いようで、廊下からの光だけが足元を照らしている。

 埃臭さが鼻をつき、関さんが室内灯を点けるとそれがより強まった気がした。視覚的効果は恐ろしい。


「電気ついても暗いな」

「美樹さんの未来みたいですね」


 天井近くまでダンボール箱が積んであるせいか、室内灯をつけても部屋は薄暗い。

 どっかの潜入工作員が喜びそうな部屋だな。

 部屋は狭く、壁の四方はアルミ棚が並んでおり人二人が横に並ぶのがやっとといったところだろうか。

 物置以外の用途はなさそうである。


 狭いので肩とか頭とかぶつけてしまう。


「こういうところだと璃瑠は小さくていいな」

「美樹さんも人間的に器が小さくていいですね」


 怒らない、器が大きいから。

 璃瑠の身長は150cmだと本人は強く主張しているが、150cmも無いだろうと私は睨んでいる。

 怒るから言わないが。


「ちっちゃい刑事さんってー身長どれくらいあるのー」

「ちっちゃ……」


 薬師寺早苗が遠慮の欠片どころか気配も無い発言をした。

 ちっちゃい刑事は良くない。その呼び方は良くない。某スピリチュアルなんたらに詐欺師とか呼んじゃうくらい良くない。

 璃瑠は不機嫌そうな顔をして渋々といった感じで答える。


「……150cmです」

「えーでも、私は155cmだけどーちっちゃい刑事さんより10cmくらい違うと思うよー」


 薬師寺早苗にはデリカシーという言葉が欠如している。刑事の直感として分かる。

 もう、りっちゃんとかそんなあだ名で呼んでもいいから、ちっちゃい刑事とか呼ぶな。

 あと璃瑠が不機嫌そうなのに気付け、薬師寺早苗。お前は出来る子の筈だ。


「ちょっと並んでみようよー」


 駄目だ、並ぶな。璃瑠の身長は150cmだ、それでみんな幸せじゃないか。

 検証とか要らないから。

 後、璃瑠も大人でいて欲しい。怒るなよ、絶対に怒るなよ。

 


「視聴覚講義室まで案内しましょうか!」


 関さんが提案した。

 空気の読める大人の女性っていうのは素晴らしいと思います。

 私は薬師寺早苗の背中を押す。


「いいですね! 行きましょう!」


 埃臭いし、薄暗いし、陰気臭いと三拍子揃っているのでとっとと切り上げることにした。


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