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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【10章・星は意味をもった】
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【10ー1】

【10ー1】


狭山はPCに数種類のデータを表示させた。


「魔法は人体に有害、かつ使いこなすには不安定だ。脳波が関わっているとは言われているがはっきりとしない、まぁ才能としか言いようがないな」


狭い一室で狭山と美樹は向かい合って座っていた。

不機嫌そうに美樹は顔をしかめる。

魔法は元素Maによる特殊な化学反応だ。元素Maは一定の脳波に反応するという性質を生かし、莫大なエネルギーを得る。

だがしかし。


「魔法というのは未知のものだ。元素Maによる化学反応だなんて説明をつけた気になっているが、Maは元素ではないし、それだけではあれだけの反応を起こせる説明すらつかない」


だが、魔法は確かに存在する。

私にはその力がある。

けれど、説明はつかない。


「今は解析が進んでいるとはいえ魔法発見当初はまさしく未知との遭遇だった。いち早く魔法を人類の手に、それはこんな無謀な物を生み出してしまった。魔法を使えるようにする方法として考えられたのが人体改造だ」


狭山が璃瑠の個人データを美樹に見せる。

アルカナ。

薬品と洗脳、訓練によって調教された子供たちをそう呼ぶという。

淡々と羅列された文字列で感覚を麻痺させそうになる。そこに書かれた言葉には同情も罪の意識も何もない。ただひたすら、行われた「調整」と「結果」の経緯を書きつられているだけである。


「落合璃瑠はアルカナと呼ばれる強化人間の成功例だ。魔法、身体能力共に並の人間を超越している」


美樹が舌打ちした。狭山は続ける。


「だからって強化人間だなんて、と言うかもしれんがな、それが手っ取り早いとかつて考えられたんだな。原理も分らない、使える人間に共通性もない。そして魔法による毒性で魔法使いは早死にする。使える人間を探すより作った方が早いとな」


理屈は分かる。けれど、理解できるわけでない。

魔法の魅力に取り付かれ、狂った彼らの生み出した結果に賛成なんてできるわけがない。


魔法はおとぎ話のように幸せで綺麗なものではない。新しい時代のエネルギー兵器でしかない。

彼らが夢見たとしても、その行き着く先は理想郷でもなんでもない。だから、こんな、こんなものになってしまっているのだと。そう美樹は思った。


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