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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【9章・死神は舞い降りた】
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【9ー18】

【9ー18】


佐樹は自身の内の魔力を練り上げる。手のひらへそれを集めて巨大な魔力の塊と変える。周囲の魔力が集束し光の粒子が鼓動する。

光の粒子が舞いそれらが大気を振動させていく。光の粒子は近付き離れ、互いの進路を妨害せずに舞い踊る。粒子はいつしか線になり、線はいつしか粒子になり。それを繰り返しながら鼓動を続ける。


全てを屠る光。


「3.02A-05Tインペリアルジャッジメント」


それはまさに壁だった。一点を貫くものではなく、一面を制圧する光芒。闇夜に沈んだ街の景観を明るく映し出すほどの光。


壁のごとく迫る魔力の塊に璃瑠は霧風を突き立てる。魔力の奔流を切っ先で貫く。

璃瑠の姿は光の奔流に呑まれた。


「はぁ……はぁっ。やったの?」


佐樹は勝利を疑った。その期待は舞い上がった血飛沫に塗り潰される。魔法使いが一人斬り裂かれ無惨な姿に変わる。


「っ……撤退!」


残り二人となった魔法使いに佐樹は退くよう指示を飛ばす。ハンドガンを拡張バレルに接続し、砲身を構え引き金を引く。バレル内で生成された膨大な魔力が砲撃として打ち出される。その光芒を璃瑠は斬り裂いて粒子となった砲撃の欠片を後にして佐樹へと距離を詰めにいく。距離にして数メートル。


「ぁぁああああああああああぁあぁあぁぁぁぁああぁ!」

「っ……5.02Bプレッシャーリージョン」


佐樹の5ナンバーが発動する。佐樹を中心に周囲の空間を彼女の支配下へと変えていく。璃瑠は即座に空を蹴って直線飛翔の向きを変える。

雨の様に魔力弾が降り注ぐ。璃瑠は落下しながら距離を取り辻風を盾にした。辻風にぶつかり爆ぜた無数の魔力弾が璃瑠の視界を奪う。爆ぜるたびにフラッシュを焚いたように眩い閃光がはしる。


「ぁぁああああああああああぁあぁあぁぁぁぁああぁ……はぁっ……はぁっ」


ようやく開けた視界の遥か彼方に佐樹が見えて璃瑠は唇を噛みしめる。

取り逃した。


璃瑠は負傷した美樹の元へ急ぐ。

目の前に降り立った璃瑠を見て美樹の目には動揺の色が見えた。

敵を倒しても、報われない。

こんな自分じゃ届かない。


「美樹さん?  ……私……気持ち悪いですよね」

「……璃瑠……お前……」

「こんなの、変ですよね」


血が滲む。


「だって普通の女の子じゃないから」



「私はアルカナ……第一次高次元接触計画の一環で生み出された強化人間です」


【9章・死神は舞い降りた完】


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