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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【9章・死神は舞い降りた】
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【9ー14】

【9ー14】


佐樹は苛立ちを隠しきれない。格闘特化型魔法使いなどという色物に砲撃特化型魔法使いでなおかつ、対接近戦に絶対的な性能を誇る5ナンバー、プレッシャーリージョンを所有する身として二撃も入れられたのは屈辱だった。

しかも二度目。


「幻影魔法によって相手の隙をつき格闘戦に持ち込む。短時間で生成する幻影は体した精度ではないけれど、高速から放たれることで一瞬の動揺と隙を作ることができる。けれど、そんなこけおどし、二度も通じないわ」


2.02B‐03Aイリュージョン。空間に干渉し、幻影を投射する魔法。

璃瑠の幻影魔法はそこまで精密ではない。だが璃瑠のスピードによる撹乱から突然放たれる幻影はそのスピード故に一瞬では見分けがつかない。

幻影により隙を作ることで格闘を叩き込む。

張られた盾を破壊するのではなく盾を張らせない。

それが璃瑠の戦略だった。


「ふざけないで」


佐樹がハンドガンの引き金を引く。

それよりも速く既に璃瑠は動く。

ビルの隙間を縫って璃瑠は飛翔する。死角に移動した璃瑠を佐樹は加速をつけて追う。ビルのすれすれを飛びながら璃瑠は後をつけてくる佐樹を見た。

佐樹がハンドガンを二丁続けてぶっ放した。璃瑠はローリングしながら高度を下げ回避行動に移る。

高速で動き回る璃瑠を照準に捉えようとしながら佐樹はその後を追う。


璃瑠が急ブレーキをかけた。加速してきていた佐樹との距離をそれにより一気に詰める。


「舐めないで。5.02Bプレッシャーリージョン」


5ナンバー、プレッシャーリージョン。範囲内のものへ下向きのプレッシャーをかける魔法。

佐樹の告げた言葉が空間を振動させそれは巨大なものへと共振していく。鐘を打ち鳴らすような音が佐樹を中心に広がっていく。空間が振動した場所からくすんだ色へと変わっていく。


「くっーー!」


璃瑠は急降下して距離をとる。くすんだ色へと変わっていく空間が迫り璃瑠は加速してプレッシャーリージョンの範囲から逃れようとする。そこを狙って佐樹が砲撃を放った。


「3.02A-05Mインペリアルバスター」


星砕が光芒を撃ち出す。大気を揺らし膨大な魔力の塊が光を散らしながら全てを飲み込んでいく。璃瑠が振り返りざまに魔力盾を張るもそれごと光芒は飲み込んだ。

佐樹の後方で空を切る音がし、プレッシャーリージョンを発動する。後ろをとった璃瑠は飛び退き発動範囲から一気に逃れた。


夜という条件は璃瑠にとって有利に働いていた。暗い為に幻影は見分けがつかず、高速移動によって行き先を見失う。光芒に呑まれた幻影は消え去っていた。

佐樹の前に璃瑠は立ちはだかる。


「見事なものね。これだけのスピード、並の人間には不可能だわ」

「……あなたのそれだけの才能も、他に使い道もあったでしょうに」

「少なくとも私は後悔していないわ」

「テロによって国が変わることなんてありえません。馬鹿馬鹿しい」

「国なんてどうでもいいわ」

「……あなたは独立派なんですよね」

「えぇ。けれど得だと思ったから協力しているだけ。私にとっては些細な事よ」

「……あなたは……?」

「私にとって正しいものの為に戦うの。あなたの様な政府の犬とは違うわ」

「信念で勝てるなら、あやかりたいですよ。あなたの目的が何にせよ、私のやる事は変わりません」

「この数を前にしてそれを崩さないのは感心に値するわ」

「数……!?」


気付けば周囲を囲まれていた。黒のマントに身を包んだ物たちが数えてみれば十二人。その手にはサブマシンガンが握られており、璃瑠と佐樹の周囲を囲い浮遊していた。


後続の部隊が居たというのか。

璃瑠は舌打ちをする。今までの報告では佐樹は単独行動が中心の為であった、それ故に油断していた。

完全に失態だった。


「魔法使い12人を相手にするつもりかしら」

「……。」


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