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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【9章・死神は舞い降りた】
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【9ー8】

【9ー8】


「エカタス理論って、観測者に共通の認識を抱かせる事が出来れば、現代の魔法となり得るのではないか。だろ?」


私が言うと璃瑠は意外そうな顔をした。


「知っているとは思いませんでした」

「そういうのが好きなやつが居たんだよ」


こよりが熱弁を奮っていたのを覚えている。

エカタス理論は理論と呼ぶには少々弱い、哲学的命題と言った方が近いのかもしれない。


私達が共通の認識を観測によって抱くことで、それが存在していると証明できるが、実際には存在しなくともその場にいる観測者が存在しているという認識を抱けば存在しているに等しいというものであるらしい。

つまり見えているものは本当は存在していると思い込んでいるだけかもしれず、それが嘘かは分からない。またそう思い込むことによって、存在していないものを存在させる事が出来る、というのだ。故に自身の見えている存在の証明は共通の認識でしかなし得ない。しかし、共通の認識自体が正しいかも分からない。

上手く説明出来ないな。

まあ認識ってあやふやだけれど、その認識がなければ更に存在ってあやふやになるよ、みたいな?。


「エカタス理論はぶっ飛んでるよね。共通の認識は現代の魔法となり得る、だからなぁ」

「エカタス理論はかなりの矛盾と問題点を孕んでいます。このチーズケーキが私達があると思い込んでいるだけでチーズケーキはないかもしれない。そんな乱暴な論ですからね」

「思い込んでるって言われても、食べる事が出来てるしな」

「その食べたという認識も実は嘘かもしれないって話ですからね。そういったら、私達自体も存在しているか怪しい訳です。無茶苦茶ですよ」

「でも、それを否定する術を観測者は持たない、だろ」


観測者は自身の観測したものの真実を証明出来ない。何故ならそうとしか見えていないからだ。自分と他人が見えている世界が違おうとも、それを確認する術はない。

言ってる事は分かるが同意しづらい内容である。


「まあ、つまりです。私達は認識されて始めて自己の存在を確立出来る。そう考えたら認められたい、という欲求は的外れなものとは思えませんが」

「そうだけど」

「誰にも認められないなら生きている価値なんて見つけられないんですよ。誰からも存在を認識されなければ、それは存在出来ないんです」


私は誰かに認めてもらいたいと渇望してるだろうか。

私は誰かに認めてもらっているのだろうか。


「認めてもらう、か。私にもそんな欲求あるのかな」

「……私は美樹さんを認識し、尊重し、大切に思っていますよ」

「なんだよ、急に。照れるよ」

「冗談です」

「いい話だったじゃん、今」


璃瑠が笑った。この瞬間も私達は互いを認識しあってると言えるのではないだろうか。

難しい言葉でなく、それは簡単なことなのではないだろうか。


「……私だって、誰かに認めてもらいたいと思ってますよ」

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