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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【9章・死神は舞い降りた】
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【9ー4】

【9ー4】


「あれ、美樹ちゃん?」


こよりを「取り逃した」私は梨花の病室に来て居た。鉄格子の中なのは相変わらずなのだが、拘束具の数は減っていた。

協力的だからだろうか。


「で、取り調べって何なのかな? 事件は解決したって聞いたけど」

「おかげさまで解決したよ、今日は取り調べっていう名目での面談だから気にすんな」

「あれが美樹ちゃんの魔法なの?」

「あれ?」

「突然、ぶつぶつ言い始めてなんか心ここにあらずみたいになっちゃったやつ」


そういや見られたな。目の前で。

恥ずかしいよね。


「あれは魔法じゃなくてだな、なんていうか記憶の中にトリップしたっていうか」


説明し辛い。

私は記憶力が良い。人とは違ったベクトルで。

私の五感と意識は何かのきっかけがあると記憶と直結することがある。脳内に無意識下に蓄えられた記憶の中へと私は溺れてしまう。

その中では全ての記憶に自由にアクセスし、全ての記憶を自由に感じ取れる。膨大な記憶の海の中では私は自由だった。シナスタジア(共感覚:刺激に対して通常の感覚だけでなく違う種類の感覚を得る特殊な知覚現象)のようなものにも目覚める。


「よくわかんないんだけど」

「まぁ、秘密ってことにしといてくれ。映像記憶能力みたいなもんさ」

「? ふぅーん」


まぁ、分かってもらわなくても良いんだけど。

鉄格子の、前に座椅子を置いて私は腰掛けた。


「で、面談っていうのは……?」

「ちょっと事件は関係なしにおしゃべりしに来た」

「……へぇ?」

「取り調べの映像化だとか保存だとか言われてるけど、そういうの無視できるのが公安って感じがするよ。誰も聞いてないし何にも残さないから、下手に警戒しなくていいよ」


私の言っている意味が理解出来ないのか梨花は混乱しているように見えた。


「聞いてみたいことがあってさ……お前はなんで戦ってるんだ?」


上井もこよりも村山も、自らの中の信念をかけて魔法という力をふるっていた。


「魔法という武器を手に何を求めてテロを行う? 行き着く果ては何だ?」

「あたしは、魔法でしか認めてもらえないから。って言ったよ」

「本当にそれだけなのか」

「美樹ちゃんみたいに凄い人には分からないよ」


自己の存在意義に思い悩むことは思春期にはより顕著に見られる。それが思春期特有のもなのかという結論は出せないけれど、私は一つの考えは持っている。

自己の存在意義は思春期を脱却すれば見つかるというものではない。おそらく誰もが長きに渡って悩み続ける筈だと私は思う。

結局は忙殺されてしまうのだ。忘れてしまうだけなのだ。経験則からそう私は考える。


けれどその答えは、おそらく梨花には届かない。欲しい答えはそんなものではないだろうから。


魔法でしか認めてもらえない、か……。


「それはテロという犯罪行為を行ってまで達成しなきゃいけない事なのか?」

「あたしでも誰かの役に立てる、それって魔法じゃなきゃ出来ないから」

「……。」


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