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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【9章・死神は舞い降りた】
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【9ー1】

【9ー1】


こよりは弘佳と美智の会話に苛立ちながら新宿地下通路に降りた。革新派が最近きな臭いことをしているのは知っている。露骨に入間沙織を要求してきたことから、入間沙織が彼らが今秘密裏に動いている何かのために必要なのだろうというのも分かる。


だからこそ、入間沙織は手放す気はなかった。

そうこよりは納得しようとしても苛立つ。本当なら革新派に渡すべきだった。彼らとやり合うのはどう考えても得策ではない。そう分かっていても、こよりは損得でなく感情で入間沙織を渡さない選択肢を選んでしまってたことに、自分自身で気づいていた。


「あの子はあたしが勝手に利用しているにすぎない……だから、こう思うのは間違ってるんだよね……!」


こよりの視界がぐらついた。

魔法中毒のせいだと嫌でも気付いて、こよりは女子トイレに入る。地下通路は改装したばかりで、トイレも例外ではなかった。新宿の地下通路の暗いイメージはなかった。

こよりは個室のドアを開けて中に入ろうとすると誰かに肩を押されて腕を取られた。


「!?」

「静かにしろ、抵抗するな」


個室のドアが閉まって鍵の閉まる音がした。

油断した。誰かにつけられているなんて。それに気づかないなんて。

顔を壁に向けたまま、後ろでこよりの腕をとり拘束している誰かにこよりは、声をかける。


「どこの組織?」

「公安六課」

「……この声は……まさか」


腕を離されてこよりは自由になる。振り返る。聞き覚えのある声にこよりは心臓が止まりそうになる。


「美樹ちゃん……」

「よう、こより」


伏見美樹がそこに居た。


「美樹ちゃん、なんで……なんで?」

「鷺ノ宮こよりと見られる人物がとあるレストランに現れると六課に情報が入った。で、跡をつけてた」

「……その情報は今日現れるって?」

「ああ。漏れてるみたいだな」

「そっか。革新派のリークかな」

「お前が会っていた二人にも跡をつけさせてる。革新派なのか」

「さあね」


美樹が居る。目の前に。手を伸ばさなくても届く距離に。

こよりの視界がまたぐらついて倒れそうになる。こよりの手を美樹がとって支えた。


「ありがとう、美樹ちゃん。薬のんでもいいかな」

「手伝おうか?」

「大丈夫、大丈夫だよ」


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