【8ー17】
【8ー17】
とある研究室の一室で佐樹は人を待っていた。しばらくすると白衣の男が入ってくる。
「待たせましたかなね」
「いえ」
「この者達を連れて行くよう指示が出てますいた」
男が連れてきた12人は何も言わずに並んでいた。そのどれもが漆黒のマントを着込み、目深にフードを被り顔の見分けはつかない。男性だというのはわかった。
「……気乗りしないわ」
「戦力は多い方がよろしいかとな」
「魔法使いもどきに何ができるというの」
「小型マギア機関の性能実験は成功しているよます」
マギア機関。WIECSを越える科学の新たなる発展。
特殊な負荷を空間に固定することで、人体を媒介と背ずに魔力を生み出す事に成功した特殊な機関、マギア。
佐樹としては怪しい産物にしか見えない。
「マギア機関が安全だとは思えないわ。しかも小型化だなんて」
「この者達が魔法使いと同程度、いやそれ以上の能力を有する事は確かだです」
梨花を救出する。それは即ち政府組織との対立になり得る。
遅れを取るとはおもえなかったが梨花の状態がもし悪ければ万が一の事態が起こりかねない。
「分かった、好きにすればいいわ」
「出来るだけ壊さないでくださいよです」
「彼らに言いなさい、私には関係の無いことよ」
小型マギア機関によって擬似的に魔法使いとなった人間。魔力を利用したエネルギー兵器であるWIECSとは根本的に違う。魔力をあらかじめカートリッジという形で仕込み引き金を引くことで魔力弾を撃ち出すWIECSと違い、マギア機関は魔力そのものを生み出す。
そのマギア機関を利用して魔法使いとなった彼らが佐樹には気味が悪い。
しかし、公安六課とぶつかるなら、あの落合璃瑠が出てくる可能性もある。用心するに越したことはない。
兵士として使える魔法使いは少ない。マギア機関が何だろうと使えるものは使った方が良さそうだった。
「必ずあなたを助ける……梨花」
【8章・正義は遺した完】