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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【8章・正義は遺した】
156/282

【8ー12】


【8ー12】


「2.01B-01Aテレキネシス。物質に対して魔力を流し込み自分のコントロール下に置く魔法だ。念動力って言われる超能力はだいたいこれにあたる」

「魔法……ですかい」


部屋に置いてあったオブジェに指紋がついてなかったのも、天井に水槽内の水によるシミがあったのも、立川が窒息死なのに至る所に痣があったのも、理由は一つだ。


私達がその場に犯人が居たと思わせる工作。それにより犯行当時でなく発見時のアリバイを重視させる工作。

物音によって誰かが居ると私達は思い込んだ。


「あんたは魔法によって室内の物を操作し部屋を引っ掻き回した。それが私達が犯人と立川さんの争う音だと勘違いした物音だ」


隣の部屋の物まで倒れていたのは現場が見えないから闇雲に魔法を発動したから隣の部屋まで巻き込んでしまったからだ。

室内で魔法によって飛び回ったオブジェは窓を突き破り外にまで飛び出した。幾つかは立川にぶつかり斑を作った。消えた天井のシミは水槽内の水で、蒸発したからだ。

水が天井についたのはオブジェが床にこぼれたものがついたのか水が飛び回ったのかは定かでないが。


「証拠はないけど、あんたのアリバイもない」


私の目を上井は睨み、そして直ぐにその表情を緩めた。


「見事な推理で。いや、雑なトリック過ぎやしたかねぇ」

「発想は良かったと思うよ」

「まあ時間さえ稼げれば良かったもんで」


私は迷った。私に踏み込む勇気があるのかと。

けれど、きっとここで聞かなければ後悔する。


「立川裕子を殺害したのは東日本ビル火災事故が原因か?」

「……。」

「いろいろ調べてもらった。立川裕子の父、立川総一郎が東日本ビルの影のオーナーで法によって裁かれる事はなかったこと。あんたが東日本ビル火災事故で妻と娘を亡くしたこと。あんたは裁かれるべき人間が裁かれていないと賠償金を受け取らなかったこと」


だから、今復讐に走るのか。

暴力によって。


「そこまで知っているなら、見逃しては貰えませんかねぇ」

「暴力じゃ何も解決しない。ただ哀しみを生むだけだ」

「法じゃ駄目なんでさぁ」

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