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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【7章・女帝は残された】
143/282

【7ー14】

【7ー14】


「立川裕子には痣が幾つかありました。犯人とかなり激しく争ったのは間違いないかと思いますが」

「うーん、なんか引っかかる」

「凹凸のない身体なのにですか」

「お前が言うと自虐にもなるよ」


部屋の惨状を前にして私は少し考えを整理することにする。

璃瑠は梨花が瞬間移動を可能としており、この部屋に瞬間移動し立川と争い絞殺し、瞬間移動でこの部屋を離れた。

立川には幾つもの痣があり、部屋も荒れていたことから犯人と争ったのは間違いない。


窓ガラスが割れるくらいに。水槽が倒れるくらいに。


「璃瑠は梨花と交戦したんだよね? どうだった?」

「?」

「強かった?」

「はい」


璃瑠と渡り合えるくらいの実力を持つ魔法使い。魔法の実力だけでなく戦闘能力も優れている。

そんな魔法使いが立川を絞殺しようとしたとするならば。

やはり妙だ。


「立川を殺害したのは梨花じゃないんじゃないか?」

「じゃあ誰ですか?」

「が、外部犯?」

「どこから入ってどこから逃げたんですか」

「窓から?」

「鍵が締まってるのに?」

「いやガラスに穴が空いてるだろ? そっから手を入れればターン式錠なんて」


璃瑠がわたしの顔を見て、タブレットPCを開いて何かを見て、そしてもう一度私の顔を見た。

え? 何と見比べたの?


「美樹さん、なんか今日は妙ですね? ガラスの破片を見てくださいよ。量が絶対的に足りません。つまり部屋の内側でなく、窓の外側に飛び散ったんです」

「ふむ」

「なら中からの衝撃で壊れたわけですが、窓から侵入しようとしているのにどうやって部屋の中から壊すんです?」

「玄関から入ってきて窓から逃げたのかも」

「なら窓ガラス割る必要なんてないじゃないですか」

「第一窓ガラスが割れてるのがおかしい。犯人と争ってるときに割れるか、普通」

「そこの床に落ちてる奇妙なオブジェを見てください。それを護身の為に投げたとは考えられませんか?」

「うーん」

「思いっきり投げれば窓ガラスくらい割れますよ」

「そりゃ肩が、強いお前ならね」


私は見たぞ、この前オフィスの端から端のゴミ箱に空き缶投げてシュートしてたの。


「……何が不満なんですか?」

「璃瑠が全力の私相手に素手で挑んだら勝てる? 私は銃器禁止で、魔法は使用可能で」

「瞬殺かと思います」

「頼もしいが恐ろしいな。梨花は璃瑠を苦戦させるくらいの実力があるんだろ? で、立川は多分、私より遥かに弱い筈だろ?」

「でしょうね」

「なら、こんなに激しく争うことになるのか? もっとスマートに片付けるんじゃないか?」

「何かしらの要因があったのでは」

「なんか収まりが悪いんだよ」


「本当に梨花が犯人なのか?」


【7章・女帝は死した完】

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