【1-12】
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「お時間をとらせました。すみません」
そこで関さんが入ってきて私たちの正面の席に座った。
守衛のタイムテーブルを受け取ると璃瑠に手渡す。
私は関さんに向き直る。ここまでの話をはっきりさせとかなくてはならない。
「関さん。今回の入間沙織の件ですが、薬師寺早苗が6時ごろに入間沙織が旅行カバンを持っていたのを見たという証言が出た以上彼女は消えたのでなく家出したのだと私は考えます」
璃瑠が何か悩んでいるようだった。こういう時の璃瑠は無視するに限る。
璃瑠の集中力を切らすわけにもいかない。
まず機嫌が悪いので関わりたくない。
「ですから、入間沙織が家出に至った動機を調査し彼女の行くアテを探します」
魔法によって内密に学園を出たと判明しても彼女の行き先のアテがまったく分からないのだ。
話を続けようとした私を関さんが遮った。
「しかし、入間さんは家出なんてするような学生では……」
入間沙織がどれほどの信頼と期待をもって周囲から見られていたかは分からない。
しかし、彼女は消えた。とまで言わしめるほどの存在であった。
私は最大限言葉を選ぶ。
「関さん。人間誰にでも人には言えないような悩みや隠し事があります。
それが彼女のような真面目な人間の場合にはそれが良くない形で現れてしまうこともあります。
ただそれを周囲の人間が嘆くこ――」
「盛り上がってるとこ悪いんですけど」
璃瑠が言葉とは裏腹に悪びれずに口を挟んだ。
璃瑠はタブレットPCから頭を上げる。
なんでこのタイミングが悪い時に割り込んでくるかな。
璃瑠は私の不満に気付かないのか、気にも留めていないのか無視して関さんに向く。
「学生から話を聞きたいんですけど」
「はい?」
璃瑠はタブレットPCの画面、捜査資料を指で突きながら続ける。
「5時から6時の間に入間沙織に会ったって証言してるこの東楓って人に」