【6ー12】
【6ー12】
「なら、あんたも魔法使いなんでしょ? 死ぬの?」
「そうだよ、すでに魔法はあたしの身体を蝕んでるし、いつ死んでもおかしくないね、おかしくない」
薬によって症状は抑えているが、いつ悪化するかも分からない。
それを聞いて入間沙織に動揺の色が見えた。
「魔法が人体に影響及ぼすメカニズムは解ってないけどね、うんわかんなーい。Ma自体がダメなのか、Maを反応させて利用可能なエネルギーにした状態のいわゆる魔力がダメなのか、そこら辺ははっきりしないんだよねー。
発症や影響が出るまでの量も個人差で収まりきらないくらいに幅があるし、魔法使いは魔法に抵抗があるっていう人もいるけどそれは、たまたま抵抗があったから魔法使いになれたのかもしれないし。抵抗なかったら魔法使った瞬間に死ぬかもしれないからね、お陀仏お陀仏」
「そうなのよねぇ。こよりちゃんがいつぶっ倒れるか不安なのよぉ」
「お見舞いにはイカの燻製が良いなぁ、燻製ね燻製」
「いやよぉ、匂いつくじゃなぁい」
無駄話はとっととやめてこよりは説明に戻る。
「で、沙織ちゃんの話なんだけど。沙織ちゃんは普通の人と違うって事が分かった、そう分かったの」
「違う事?」
「沙織ちゃんには魔法に対して絶対的な耐性がある。完璧ではないよ? でも普通ではあり得ないくらいだよ、ありえなーい」
薬師寺早苗の魔法の影響下に居ながら、殆ど影響を受けていなかった。
「この部屋を定期的に高濃度魔力で満たしていたのよぉ。でもあなた、なんの影響もないでしょぉ? 普通の人なら下手したら死んでるレベルなのよぉ」
「そ、そんな」
「ごめんね、でも沙織ちゃんの体質は調べる価値がある、そう価値が。もしかしたら、魔法の有毒性を解明して防ぐ事が出来るようになるかもしれない、いやなるよ」
「わ、わたしそんなの!」
「ねぇ分かる? 沙織ちゃんによって人類は次のステップに進むことが出来るようになるんだよ、次のステップ。想像も出来ないよ、生身の人間が機械も使わずに大量のエネルギーを生み出せる。エネルギー問題どころか世界中のあらゆる問題が解決する、解決出来る」
「わたし死にたくない!」
「これはまさしく進化だよ、進化。人間が人間を超越する。エネルギーは無限に生み出せるから後進国の問題も一気に解決するし、人間の活動領域は大幅に広がるから土地も食料も解決する、石油枯渇どころか下手したら石油が要らなくなるね、生活様式は大幅に変わって価値観も変わる」
「死にたくない! もう家に帰してよ!」
「従来の価値観が変わることで、社会問題も片付く。古いものを全て捨て去って人間は進化するんだよ」
「いや! いや! わたし死にたくない!」
「だーかーらー、死なないんだって沙織ちゃんは、死ななーいの」
「だってあんたは死ぬんでしょ!?」
「そうだよ? だから、あたしは今出来る事をやるの」