【6ー9】
【6ー9】
ショーウインドウの服が気になったので立ち止まって眺めている風を装いながら、こよりは辺りに神経をとがらす。
酔っ払いの集団が歌いながら歩いて行き、それを気にも止めず人の波は歩みを止めなかった。
夜の街並みのネオンに紛れて誰かが見ている気配がした。
やはり尾行されている気がする。
このまま隠れ家に向かうわけにはいかない。尾行してきているのが魔法使いでないなら、飛行魔法で撒いても良いのだが分からない以上は下手な事をしたくない。
仕方ない、そう思ってこよりは歩みを進めた。交差点を渡り切ると同時に走り出す。通行人を縫うようにしてこよりは全速力で走る。チラッと後ろを確認するとスーツの男が走っているのが見えた。
一人、いや二人か。
急遽真横に方向転換して路地裏に入った。それを追って男達が路地裏に入る。路地裏は思ったより広く、男達は走るスピードを変えない。その時だった。彼らの足元に突然鎖が真横に張られそれに足をとられ彼らは転んだ。
立ち上がろうとした彼らの首に鎖が巻き付く。
その鎖に引き倒され、そこに鎖が無数に絡みつき動きを奪う。
「こんばんはー、何の用かな? そう何の用?」
こよりは笑顔で男に近付くと一人の首元に銃口を押し付け引き金を引いた。青白い電流が男の身体を這い男は大きく身体を仰け反ると気絶した。
そしてもう一人の男に向き直る。
「スタンガンって便利だよねー。一発で気絶させられるレベルの物が出来ちゃったからね、そう一発。でも残念な事に一回しか使えないのばっかりなんだよねー」
そう言ってこよりはスカートの下からハンドガンを引き抜く。それを気絶していない方の男の首元に押し当てた。
「だから、こっちは実銃、そう実銃。死にたくないよね、あたしだったら死にたくないなぁ」
「た、助けてくれ!」
「でもあたしとしてはここで殺したいんだけどなぁ、殺したい」
銃口をねじるように押し付ける。男の恐怖を極限まで煽る。引き金を指先でコツコツと弾く。
「誰に雇われた、誰に?」
「い、いえない!」
「じゃあ死のうか? 死んじゃう?」
「た、立川だ!」
「立川……? 誰だっけ?」
「議員の立川さんだ!」
「あー。あのおばさんが、やっぱりこういう手で出てきちゃったかー。頼まれた仕事は、今回の」
「あ、あんたの跡をつけろと」
「それだけ? だけだけ?」
「そ、それだけだ」
「他に知っている情報は? 情報情報」
「ほ、ほかは何も知らない! あんたの名前すら知らないんだ、」
こよりは銃口を下ろす。そして笑顔で言った。
「オジサンさー、こんなんで死ぬなんて淋しい人生だね、ホント淋しい」
下ろした銃を胴体に押し付けて引き金を引いた。青白い電流が流れ男は気絶した。
「スタンガンの予備くらい持ってるよー、良かったね、良かった良かった」