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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【6章・月は繋げた】
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【6ー4】

【6ー4】


「私とこよりは新宿大規模爆発事故に巻き込まれたんだよ」


忘れもしないあの事故で、私達の運命は狂い始めた。

あの日、あの時、あの場所で。


高濃度の魔力が充満し、大爆発を起こした。それをきっかけに鷺ノ宮こよりは自身の内に存在する力に気付いた。魔法だ。

魔法を自覚し、自己流で運用出来るようになるのは非常に難しい。だが、こよりは才能があった。

あの崩れた街の中で。死体に埋れた街の中で。

こよりは笑っていた。


「あの事故で、こよりは魔法に目覚めた。その力をこよりは受け入れ喜んで。世界を変えることに決めた」

「世界を変える、ですか?」

「詳しくは分からないけど、こよりは私達を差別する社会を憎んでいた。それを変えるって」


あの日、黒煙に包まれた新宿でこよりは歓喜した。魔法という存在を知り、その圧倒的な力を手にしてこよりは言った。

この世界を変える力だ、と。

あたしが、この世界を変える、と。

そういってこよりは私の前から姿を消した。


「こよりがテロ活動を行いその声明をネットに出した時、私は初めてこよりの言っていた意味が分かった。私は初めてこよりがとんでもない道に足を踏み入れた事に気付いた」

「鷺ノ宮こよりの初めてのテロ活動は確か……」

「反部落差別運動団体幹部の誘拐。次は文部科学大臣の誘拐。それから幾つかの施設破壊と要人誘拐を繰り返し、この前の入間沙織の誘拐だ」

「でもなぜ、反部落差別運動団体幹部の誘拐をしたんですか? 彼等は差別される側を応援する団体でしょう?」

「反部落差別運動団体は自分たちは差別されていると差別をあえて煽ることで、私腹を肥やしているからだよ。彼等にとって差別は飯の種なわけだから」


差別に反対していると活動していれば、その為の資金援助や税制面での優遇、賠償金など金が彼等のとこにはやってくる。

だから、彼等は差別撤廃を謳いながら誰よりも差別を望んでいる。

火のない所に煙を立てに騒ぎたて、彼等の私腹を肥やしていく。それをこよりは憎んだ。


その幹部を誘拐し、こよりはネット上に声明を出した。それによって私はこよりが犯罪に手を染めた事を知った。


「当時の文部科学大臣は同性愛者への批判発言を行ったことでバッシングを受けていたんだけど、それに便乗する形でこよりは誘拐に至った」

「それをきっかけに鷺ノ宮こよりという名前は広まりました」

「活動家として名を売ろうとした節はあったね。その頃を境に幾つかの活動グループと手を組むようになったし」


公安も鷺ノ宮こよりという人物を危険視しはじめた。だが、特定の陣営につかないことから、捜査は困難を極めると思われた。しかし。


「鷺ノ宮こよりという名前は本名だ。何故かは知らないけど本名のまま声明を出した。だから、私の所に公安部が接触してくるのも当然だった。その頃の私は混乱してたけど、一つ公安に提案をした」

「なんですか?」

「私をこよりに会わせてくれって頼んだ」


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