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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【6章・月は繋げた】
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【6ー3】

【6ー3】


「佐樹ちゃん?  何を見てるの?」


佐樹がポータブルPCを見ていたので梨花は覗き込んでみる。佐樹が傾けて画面を見やすくした。

黒い背景に刺々しい赤い文字のHPだった。デザインが一昔前である。

掲示板のログをまとめたサイトらしい。


「新宿大規模爆発事故の真実……?  なんかもう懐かしい気がするよ。一年経ってないのにね」

「こんな陰謀論が囁かれる位には風化したということよ」


とはいえ、未だに立ち入り禁止の封鎖領域が新宿区の一部にはある。


新宿大規模爆発事故。直下型の震度4強の地震により地下ガスが噴出し、これによる爆発で死者数百人にも上る犠牲者を出した大規模な事故であった。

しかしながら、震度4強で地下ガスが噴出するほどの地割れが起きるのか、まず新宿区にそれほど大量の地下ガスが眠っているのかといった指摘や、政府がこの事故に関して厳しい情報規制をかけた事でネット上では様々な陰謀論が語られてきた。


「実際には、地下ガスではなくMA元素によるものだと言われているわ」

「そうなんだー。ってえぇ!?」

「何らかの理由により高濃度の魔力が充満したことにより魔力爆発とその魔力によって急性中毒になったことがあれだけの被害者を出したんだわ」

「へぇー」

「推測だから本当の所は分からないけれどね」


だが、確証はある。

だが、不明な点もある。

それだけ高濃度の魔力が生み出される理由だ。新宿区には何かがあるのだろうか。

佐樹の思考は梨花によって中断された。


「ふーん。でも、なんで急に新宿大規模爆発事故の記事なんて見てるの?」

「広報部が今度、この事件について記事を書くらしいわ。だからその下調べみたいなものよ」


佐樹は広報部に所属している。普段は中学校の中で起きた些細な事件やニュースを定期的に記事にしているのだが、文化祭に向けて大掛かりなものを準備しているのだった。

帰宅部の梨花にとっては遠い話である。


「あたしも、佐樹ちゃんと一緒に広報部入れば良かったかなぁ」

「あなたPCが使えないじゃない」

「えへへー。あ、でもでもカメラの使い方は覚えたんだよー」


ポータブルPCを制服の胸ポケットから梨花は取り出した。写真データを佐樹に見せる。

佐樹の写真がスライドショー形式で映し出されていく。どれも、少し遠巻きのものだった。撮られた覚えのない写真に佐樹は動揺した。


「あ、こ、こんなのいつ撮ったのよ!?」

「いやー撮るものなくて、ついつい佐樹ちゃんばっかり」


一歩間違えれば、というより間違えなくても盗撮ではないか、と佐樹は憤慨した。


「ご、ごめんね。でも佐樹ちゃんって写真撮らせてくれないし」

「これからは撮らせることにするわ……」


流して見ながら佐樹はため息をついた。何十枚と撮られた(一歩間違えれば、というより間違えなくても盗撮)写真は一枚のブレもなく佐樹が中央にいた。


「あ、そうだ。この写真なんかは凄いよ」

「?」


ポータブルPCを梨花は横から操作して一枚の写真を選んだ。


「佐樹ちゃんの着替え写真」


流石に佐樹は梨花を引っ叩いた。

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