【1-10】
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「てか、学園の備品なんてそんな話あった?」
「捜査資料にあったじゃないですか。私たちの推理はここの所轄が最初にやったのと同じものをなぞってるだけですよ」
スティックシュガーをそのまま飲み干しながら璃瑠は答えた。
甘そう、というか気持ち悪い。
璃瑠は甘党というには度をこしている。
本人曰く大量の糖分を取らないと脳が持たないらしいが、そんなことをしていたら体の方がもちそうにない。
量は食べれないらしいので、摂取方法が少々見た目によろしくないのである。
「ですから、これから先は公安六課としての推理になります」
璃瑠が真剣な顔つきになったので、私も気を引き締める。
膝を詰めるとはこのことか。
「美樹さん」
「なんだ」
「真面目な顔をしないでください。笑いが堪えられないです、というより気持ち悪いです」
「なんでだ!」
失礼な冗談を言うものだ、と思っていると璃瑠のグーパンチが顔面に飛んできた。
鼻面に容赦なく痛撃が入る。のたうち回る私を無視して璃瑠は話し始める。
「入間沙織は失踪前に旅行カバンらしきものを持っていました」
『普段使うやつとは違ってー青と白のスポーティーな感じのやつで赤いロゴが入ってた。そうだなー旅行カバンみたいなやつ』と入間沙織は証言している。旅行カバンと断定出来るかは分からないが、大きな荷物を持っていたのは確かである。
「入間沙織は家出したと仮定して、入間沙織が学園から外に出たという証言、証拠がありません」
防犯カメラ、守衛の証言、外出届、このいずれにも入間沙織の存在はない。
まったく跡を残さず入間沙織は学園外に姿を消した。
「これを可能にするには防犯カメラに映らない、もしくは3.5メートルの外壁を飛び越える必要があります」
防犯カメラは24時間稼動しており、細工等は見られなかった。
また外壁を飛び越える道具は見つかっておらず、学園の梯子類の備品が消えたという話も無い。
璃瑠が声を落とした。
「そして入間沙織の原因不明の体調不良、これは魔法による中毒症状に当てはまります」
公安六課の目的は「魔法」だ。
私たちそのために居る。
「入間沙織は魔法使いではないでしょうか」