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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【5章・死刑囚は変わり果てた】
108/282

【5ー11】

【5ー11】


「おかしいよ、うん、おかしい」


こよりが、足を踏み出した瞬間にワンピースのスカートの下に仕込んでいたホルスターからハンドガンを引き抜く。こよりの細い指が銀の銃身を撫でるように握る。

それを見て璃瑠が踏み込む。


「美樹さん!」


璃瑠が辻風を踏み込みながら叩き下ろす。大剣、いや金属の塊というべき辻風が空さえも巻き込んで一閃を煌めかせる。

それはこよりに到達する寸前に阻まれた。

鎖であった。硬く張られた太い鎖が蜘蛛の巣のようにこよりの前に張り巡らされ、こよりと璃瑠を阻んだ。


「鎖……3.02B-04Uリアクトチェーン……?」

「だーいせーかーい」


無数の鎖を断ち切るのは容易い事ではないと璃瑠が辻風を引き戻すと同時に、こよりがハンドガンの引き金を引く。璃瑠の頬を細い閃光が掠め血が沙華のように散る。踊り場の窓ガラスが割れ弾け飛んだ。

璃瑠が辻風を盾のように構え、銃弾を防ぐ。

その辻風に鎖が絡み付いた。

鎖が鞭の様にしなり、璃瑠ごと窓の外へ吹き飛ばす。


「っぁぁ!?」


美樹は動けなかった。

どうしてこんな事になっているのか、という気持ちが心を掴む。


吹き飛ばされた璃瑠は飛行魔法を発動し、空中で姿勢を制御する。

そこに銃声が響く。窓から飛び出したこよりがハンドガンを連射する。引き金を引く度に銃身がスライドし、閃光を撃ち出した。

空中で璃瑠は大きく回避運動をとり、飛翔する。


大きく回避する軌道を描きながら璃瑠はこよりまでの距離を詰める。緩慢とした大きな回避から軸を合わせると璃瑠は今までの数倍以上のスピードでの直線飛翔を見せる。

こよりが左手を突き出し魔法を発動する。


「3.02B-04Uリアクトチェーン」


空中で突如形成された魔力の鎖が三本連なって璃瑠に向かう。鎖の先は槍の様になっておりそれが璃瑠の張った魔力盾に突き刺さる。腕を振り払い魔力盾で薙ぎ払うと同時に盾を解除し、璃瑠はこよりまでの距離を一気に詰める。魔力盾の幾何学模様が空中で消失すると鎖は行き場を失い空中で漂う。


振りかぶり鋭く下した辻風はこよりが一気に距離を離した事で虚しく空を斬る。


空中で後ろ跳びをしながらこよりは鎖を更に射出する。それを旋回し璃瑠は再び距離を詰めに行く。璃瑠の真後ろから鎖が出現して璃瑠に向かって行った。振り向き様に叩き落とすと真下と斜め上から更に鎖が向かってくる。それを叩き落とし、一気に加速して鎖から距離をとる。そこを狙ってこよりが引き金を引く。魔力弾が次々と空を裂きながら正確に璃瑠を狙う。璃瑠の張った魔力盾に直撃し魔力弾が爆ぜた。


鎖の出現位置が予測出来ないのが思っていた以上に

厄介であった。そう璃瑠は唇を噛む。


完全な至近距離型の璃瑠にとって空戦は不利になる。直線的に距離を詰めていきたい璃瑠に対して、360度全方位に立体的に動ける為にこよりが捉えられない。更に鎖が何処からも飛んでくる。


だが、璃瑠のスピードは圧倒的だった。


璃瑠は鎖を身体を捻り寸前で躱すと、矢のように飛んでいく。


「だぁっ!」

「っーー」


こよりが魔力盾を貼り辻風が打ち付けられる。その瞬間に鎖が璃瑠の足首と首に絡み付いた。


「!」


こよりが距離を離す。引き金を引こうとした。

二人の狭間を縫う様にして閃光が降り注ぐ。張り巡らされた鎖が次々と撃ち抜かれていった。鎖が断ち切られ空中で離散し光の結晶へと変わり風に流されていく。

一発の誤射もなく、鎖を美樹は撃ち抜くと二人の間に舞い降りる。


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