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プロローグ

ゆるふわ設定です。



――王宮の豪華な大広間。




今日は学園の卒業パーティーである。


王宮の大広間は、天井から吊るされた巨大なシャンデリアが無数の輝きを放ち、まるで星が降り注ぐかのようだった。

花瓶には瑞々しい薔薇とベルガモットの香りが満ち、空気は甘く華やかに染まっている




そんな華やかな中、本来なら婚約者のレオナルド・シュトルツと共にいるはずだったのだが、公爵令嬢セリーナ・ヴァレンティーノは、淡いピンク色のマカロンを口に運びながら、ひとり微笑んでいた。




(あぁ、本当レオナルド様の代わりに生徒会の皆さんとパーティー準備をさせていただいて良かったわ。

こんなに美味しいマカロンをこんなに取り寄せられるなんて・・・)



セリーナは婚約者がいないことよりも別のことに夢中になっていた。




その時、階段の最上階から、王太子レオナルド・シュトルツと、鮮やかなピンクの髪を揺らす侯爵令嬢カミラ・ブリュエルが現れた。



会場中の視線が一気に2人に集まり、ざわめきが広がる。




セリーナはまるで夢でも見ているかのように、不思議そうに目を見開いた。




(カミラとレオナルド様?

あぁなんだ、2人ともこのためにわたくしに準備を頼んだのねぇ。

素敵ね。どんなサプライズかしら?)




ワクワクした気持ちで2人を見つめているとセリーナの目の前まで2人はやってきた。




そこでセリーナにレオナルド・シュトルツは冷たく言い放った。

「セリーナ、君との婚約は破棄することに決めた。」




その場に凍りつく空気。周囲の生徒たちがざわめき、ヒソヒソと話をする。

一方セリーナの親友、カミラ・ブリュエルは扇の下で微笑んでいた。




(これで終わりね、セリーナ。レオナルドは私のもの。)




だが、セリーナは動揺の色を一切見せず、むしろ太陽のような笑顔で答えた。




「あら?2人とも余興があるなら事前に教えてくださいな。合わせられないわよぉ。レオナルド様まで教えてくれないなんて・・・ふふふ。」




会場中の全員が凍りつく。




そう、セリーナはドがつくほどの天然だった。




(なぁ、レオナルド様のあれ冗談じゃないよな?)

(そうに決まってるだろ??)

(明らかにカミラ嬢とは親密そうだし)

(じゃあ婚約破棄手前っていうあの噂は本当だったんだな?)




各々皆囁き合う。




以前からカミラとレオナルドは隠しもせず親密に校内中を練り歩いていて誰がみても恋人に見えるほど。

それに気づいてないのはセリーナただ1人。

婚約者と自分の友達が仲良くしてくれるだなんて嬉しいとすら思う始末。




そんなセリーナにレオナルドは苛立ちを隠せず、さらに冷酷な決定を下す。




「余興などではない!婚約破棄に加え、セリーナ・ヴァレンティーノにはこの愛しいカミラに嫌がらせをしてたらしいな。よって断罪を命じる。国外追放だ。」




その言葉を聞き、周囲は驚愕した。




(セリーナ様が嫌がらせ!?ありえないだろ?)

(そうよ、何かの間違いだと思うわ!)

(嫌がらせくらいで国外追放!?この国大丈夫か?)




そうなのだ。

セリーナの評価は良く、天然なお姉さんと慕われていた。

困っている人にはもちろん手を差し伸べ、学年、貴族平民分け隔てなく仲良くしていた。




勉学も常にトップで妃教育も難なく終了し、その振る舞いから憧れの淑女として注目の的だった。

もちろん、多くからの好意の目線には本人は全く気づいていない。




そんなわけで嫌がらせをしているという発言は皆には全く響かず、むしろ王子達の言動に驚きしかなかったのだ。




(わたくし、嫌がらせに身に覚えがないのですけれど。

カミラったら相談してくれれば良かったのに・・・

もしかしたらレオナルド様にだけ打ち明けられてそこから仲が深まったのかしら?なんて素敵なの!あら?あの2人・・・)




セリーナはふと2人に視線を戻し、あることに気がつく。




静寂に包まれた会場に突如明るい声が響き渡る。




「お揃いの衣装でしたのね!!カミラ!あなた赤がよく似合うわ!素敵よ!」




会場全員が2人に注目する。レオナルドはカミラの瞳の色に合わせ、深緑の衣装を。カミラはレオナルドの瞳の赤に合わせ赤いドレスを着ていた。




そもそも卒業パーティーなのに婚約者を優先せずに違う女性と来ること自体が問題なのだが。

そこには触れず、セリーナの天然節が続く。




「カミラ・・・嫌がらせされてたの?いってくれればわたくし出来る限り力になりましたのに・・」




「セリーナ!!私はあなたに嫌がらせを受けたと言ってるのよ!!」




カミラは持っていた扇をセリーナに向け言い放つ。そしてレオナルドの方に振り向き涙をいっぱい浮かべる。するとレオナルドはカミラを抱き寄せ額にキスをした。




「可哀想にカミラ・・・仲の良いふりをしてずっと酷くされていたなんて。君に2度と近づけぬよう、あいつを国から追い出すからな。」




「レオナルド様・・・愛してるわ。」




2人は抱き寄せ会い、幸せそうな雰囲気をだす。次第に周りもそんな2人にもしかしたら本当の話なのかと信じ始める者も出てきている。




そして漸く何かが違うと感じたセリーナがあわあわと慌て始める。




「失礼ですが・・・レオナルド様、本気ですの??」




「あぁ、本気だ。カミラを愛してるんだ。それとお前のそういうところが昔から嫌いなのだ。」




「そういうところ・・ですの?ちょっとよくわかりませんわ。申し訳ありません。

これは陛下もご存じなのですか?」




「父上にはこれから報告する。さあ、婚約破棄の書類にサインしろ。」




(レオナルド様大丈夫かしら?勝手にこんなことしたら陛下に叱られてしまうわよ?でも2人は愛し合ってるのよね?邪魔は良くないわね。)




他人の心配ばかりするセリーナである。




「あぁ、どうしましょう。陛下怒ると怖いと思うわ。でも、そうね・・・サインいたします。」




侍従が持ってきた書類にサインをして渡す。

レオナルドは満足そうにそれをみて皆に見せる。




「皆が証人だ。これにてセリーナ・ヴァレンティーノと婚約破棄をする!そしてこちらにいるカミラと婚約する!!さあ、宴はまだ始まったばかり。皆、引き続き楽しんでくれ!」




レオナルドの合図でダンスタイム開始の音が鳴り始める。

ダンスを始める者もいれば、両親に状況を伝えようと帰る者も。




レオナルドは衛兵にセリーナを連れて行くよう指示を出す。




皆がパーティーの続きを始める傍らセリーナは衛兵と共に静かに広間を出る。




そこへ、黒髪の青年が静かにセリーナのそばに行く。

衛兵達は一瞬警戒するもの、やってきた人物をみて一歩下がる。




「大丈夫か?セリーナ」




人影を感じ見上げたセリーナは驚く。

「あら、リオ?来ていたの?何だかわたくしこの国を出ることになってしまったみたいなの。」




セリーナは困ったように笑う。




「なあ、なら俺の国に来ないか?セリーナさえ良ければ俺のそばにいて欲しい。」




その言葉にセリーナはパッと顔を輝かせる。




「まあ、素敵!そうね、どこの国に行こうか何も決めてなかったからリオの国に行こうかしら。でもどうしましょ、何の用意もできてないわ。それにお父様達にもどう伝えたら・・・」




「君のお父上には俺から伝えておくよ。それにこんな国から一刻も早く出て行った方がいい。俺も今日のパーティーの後、国に帰る予定だったからちょうどいいさ。」




「まぁ、ありがとう。リオが一緒なら心強いわ。それにしても、レオナルド様は大丈夫なのかしら。カミラとは仲良く頑張って欲しいのだけれど・・・」




リオは衛兵に指示を出す。




「殿下に伝えてくれ。国外追放になったセリーナ嬢はこのままアルヴァレス帝国に連れて行き、金輪際シュトルツには足を踏み入れることはないと。」




衛兵は足早に伝言を伝える為にその場を後にした。




「さあ行こうか、セリーナ。」




「えぇ。とても楽しみだわ。お父様達、リオを連れて帰ったらきっと驚いてしまうわね。」




2人は学園外に停められた馬車に乗り込みヴァレンティーノ公爵家が所有するタウンハウスに向かった。




リオこと隣国の王子、カイセリオン・アルヴァレスはこの国に留学生としてきていた。セリーナの父ヴァレンティーノ公爵は昔アルヴァレス帝国に留学した際に現皇帝のカイセリオンの父と親しくしており帰国後も親交を続けていた。




カイセリオンは幼少期、皇帝夫妻の提案で避暑としてヴァレンティーノ公爵領に訪れていたこともありセリーナとは幼馴染という間柄だった。




初めての顔合わせから一目惚れし、挨拶と同時にプロポーズしてしまったのはカイセリオンにとって黒歴史である。




その後も、皇太子として公務を行うようになって公爵領に行くことがなくなっても手紙のやり取りを続けて近況報告を行なっていた。




カイセリオンとしては婚約の申し出をしようとしたタイミングでセリーナの婚約が決まってしまったので諦めるに諦めきれず、今回留学生として三ヶ月の間シュトルツにきていた。




もちろん、ただの語学、国同士の親交為だけでなく結婚する前にちゃんとセリーナに会いたいという気持ちが強かったが、それ以上にセリーナの婚約者がどういう人間なのか確認するためでもある。




結果、この三ヶ月という短い間でレオナルドがどれだけ馬鹿王子か嫌でもわかる羽目になった。






馬車の中でセリーナはリオの誘いの言葉に純粋に喜んでいた。

そして、壮大な勘違いしていた。




(国外追放ということは、わたくし平民になってしまうということなのよね・・・・リオの侍女として働かせたいただけるなんて幸運ね。しっかりやり遂げますわ。)












初めまして、おまめと申します。

拙い処女作なので、みなさん温かい目で見ていただけると助かります。

そうです、豆腐メンタルなのです。



ゆるふわ設定なので気になることも多いことででしょう。

私も気になっております。


貴族物語が好物だ読み漁ってましたが、昔からの夢で実際書くってなると難しいですね。


沢山書いて沢山勉強させていただきます。

いつか自分自身が続け読みたくなるような小説を書けるように・・・



これからお付き合いどうぞよろしくお願い致します。




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元気でます!!


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