大掃除
クリスマス当日。
元々あった今日からの家族旅行に向け、園崎さんたちは朝早くに家を出て行った。嵐のような騒がしさで出て行き、過ぎ去った後は嵐の後のようだった。園崎さんが苦手なわけではないけれど、もう園崎さんを家に入れない、と決意した。
昨日していなかった食器洗いを終えると、やっと一息つく。
園崎さんは嫌いでないが、1人が好きな僕にとってあの人の騒がしさは辛い。平宮さんとだからこそ一緒に住んでいられるのだろう。
「平宮さん、これ使ってください。」
「あ、慶人ついでにこれ運び出しくれ。」
クリスマスも過ぎ、正月休みが始まった。
と言うわけで、2人で年末の大掃除をしている。
部屋の物を外に出し、ホウキで掃き、掃除機を掛け、雑巾まで掛ける。普段もゴミを掃くくらいはしているが、窓の溝や部屋の隅までは行き届いていない。
物は少ないのだが、ムダに広い家なのでかれこれ3時間ほど2人で頑張っている。残る場所台所と浴室も分担をし、作業を始める。10年以上の独り暮しで掃除の仕方、特に水回りの技術は身についている。洗剤を用意し、テキパキと作業を進める。必要なものは予めつけ置きも済んでいる。洗剤を洗い流し、台所の物を整理して30分ほどの作業は終わる。平宮さんも同じように終わり、2人で一息つく。
最近は平宮さんの影響でコーヒーを飲むことが多い。砂糖と牛乳が大量に入った甘いコーヒーだ。
「なぁ、慶人。1つ相談があるんだ。」
お互いのカップが空になった頃、平宮さんが口を開く。
平宮さんもリビングで勉強やら個人の時間を過ごしたい、という申し出だった。現状平宮さんは開いている部屋で、僕が使っていた机で勉強や読書をしている。リビングにいるのは食事の時くらいだが、寒いらしい。この家には空調がない。暖房器具を部屋に持ち込んでいるが、ムダに広いその部屋では効果も薄いようだ。
「いいですよ。」
ここで断るのも僕が平宮さんをいじめているみたいだ。元々あのルールはまだ平宮さんを信用し切れていなかった頃の、とまでは言わないけれど少し距離があった頃のもので、そろそろ新しく考えても良いかも知れない。
そんな僕の返事に平宮さんはすごくお礼を言っている。それほど寒かったようだ。もう少し早く言ってくれれば全然コタツも使って良かったのに。僕も気が利かない人間だ。
と言うわけで、年も終わりに近づいた頃僕の日常に新しい景色が誕生した。勉強をしていると視界に入る平宮さんは、いつも集中していてかっこ良い。
一瞬オメガであることも忘れてしまうほどで、やっぱり僕は年の終わりまで第二の性に振り回されるのだった。




