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枯れて候ふ  作者: BOSSガス爆発
9/9

空き家で声嗄らす(アキヤデコエカラス)

 この(やしき)がある池之端は上野のお山下にあるので、時折ゴリラか森の人か知らんが咆哮が聞こえることもある。

 不忍池も近いので、ゆりカモメ?らしき鳴き声も。

 正直、何を訴えているのか甚だ分からん(同し鳥だろ?とは横暴といふものである)ので、気にもしなかったが……。



 朝の散歩で山裾を飛んでいると、精●軒から漂う芳しい匂いに紛れて、またも某かの獣臭と咆哮が耳に届いた。

 猛獣かな? 誰向けのアピールなのか。

 哀しげな色は無いものの、勝手に切ない心持ちになってしまう。

 自由に外を飛ぶ我が身と囚われの獣たち……。


()き家で声嗄らす』とは思いたくないが――。

《努力しても報われない事のたとえ。空き家で大声あげてもねえ……》。



 なんの!

『好っきゃで(ミル)マスカラス!』でどうだ! ※1

『千の顔を持つ男』!

 私は心中を振り切るように叫んだ。

 おお、脳内で「スカイ・ハイ」が流れ出したぞ。ブローン……。※2


 まさに今、私はスカイ・ハイ。


「ドスカラス! ドスカラス!」


 そりゃ弟だな。

 てかいたの? メリーアン。随分早起きじゃないか。

 お前、動物園て行ったことある?


「アイウォクダサ……ヒッ!」※3

『wow wow!』


 また古い歌を。つられるじゃないか。


「タイサホウコク!」


 おお、そうか。

 では一休みしよう。



 不忍池畔のガードレールに降り立つ。

 朝陽を反射して水面が眩しすぎる。

 目がチカチカするなか、目の前をジョギング男性が黙々と走り抜けた。

 ……ああいうの、何の効果があるのだろうな。

 ジョギングは脳に悪影響――確か、Dr.●松が仰っていたと思うが。



 メリーアンが邸内をうろちょろして集めた情報――。

 大旦那が○○ちゃんと接近したのは、ここ一年ほどらしい。


 ふむ。

 して、その、二人は何処まで……。


「シェイクハンド! PK(ピーケー)!」


 は? 謎なぞか? 松丸呼んで来いっ!


「エ、エト……ジャパニーズ、ズ……フルート……」


 …………わかった、皆まで言うな。生々しいからな。遠回し乙。

 お前、勉強(?)したんだな。申し訳ない、こんな指示出して。


「ヘイキ・サー!」


 照れたように、メリーアン赤面(多分)。



 微妙なトコだが。

 大旦那も枯れてない、か。

 だが、「立て! ジョ~!」とはいかないらしい。

 70(歳)近いのに。お盛んなことだ。


 誰それの色恋に興味はないが(若を除く)。

 複雑な相関図を眺め・妄想するのは、ちよと面白そうだ。


「タイサ、ワルイカオシテル!」


 ままならぬ老人の性――重いな。


 我々は、まだ自由な方かもしれない。

 

 

※1 メキシコ出身の元プロレスラー。人気絶大なマスクマンでした

※2 マスカラスの入場曲。イギリスのバンド『ジグソー』による、同名の映画主題歌……とのこと。

※3 『ZOO』(エコーズ)。

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