表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
枯れて候ふ  作者: BOSSガス爆発
3/9

挨拶より円札(\(^_^)(^_^)/よりエンサツ)

 ――ほろ酔いで帰宅した若。


「おー聞いてくれよウ●コ」


 ネクタイを緩めつつ、スマホをずいと向ける。

 すかさず、


『××くん、今までありがとう。楽しかったよ♥』


 女性の声でメッセージが流れた。


「また振られちゃったよ~」


 軽い調子で情けないステップを踏んでみせた。

 もう、見飽きた光景だ。


「社交辞令いらんから、××の指輪返してくんねーかなー高かったのに~」


 しわい事を言わんでくれ、若。


『メメシクテ! メメシクテ!』

「オレもツラいんだよ~」





『挨拶より円札』

《礼を言われるより金を貰うほうがチーッス!》


 だな。

 これ「ことわざ」なの?

『愛された圓楽(えんらく)』じゃダメかな。

『座布団より圓楽』。大喜利。ハハハ。

 いっそ『彼岸より圓楽』? 黄泉がえられてもな……。


 ダメだ。意味が合わない。こんな、圓楽推しが過ぎるだろ。

 なんかハラ●チのネタみたいだな。



 若は徐に、グラスと電気ブランの小瓶を取り出した。

 これはいかぬ。酔い潰れて寝落ちするパターンだ。

 若、風呂ぐらい入ろうぜ。


「サキニシャワーアビテコイヨ! サキニシャワーアビテコイヨ!」

「そりゃ女に言う台詞だろ。正論だけどムカツクぅ~」


 珍しく深い溜め息をついて、若は部屋を出て行った。

 スリッパのペタペタいう音が粘っこく廊下を遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。





 若の境遇から、金目当ての蝶が常に周囲をヒラヒラ舞っている。

 彼も惚れっぽい質なので、軽いノリで取っ替え引っ替えしてはあっさり別れる――という愚行を繰り返している。


 時折、父御(先代社長)も心配して見合いなぞセッティングするが、若は元々「お嬢様系」とは相性が悪いので、当然のように上手くはいかぬ。


 悪い人間ではないのだがな……優しいトコロもあるし。

 瀕死の(だったか?)インコを拾って、付きっきりで看病するくらいには。

 ……確か。そう。記憶が改竄されていなければ、だが。





 さっぱりした顔で若が戻ってきた。

 憂いも洗い流せたようで、なによりだ。


 どれ。

 今日は私が労おう。


 私は電気ブランの小瓶に抱きつくと、嘴で開栓を試みた。

 思いの外、固い。力のパワーが欲しい。

 バタンと横倒しになってしまった。


「おいおいー大丈夫かー?」


 すまぬ。若。


「割れてね? 貴重なんだからよ~気を付けろ~」


 そこは私の身を気遣うトコだぞ。

 優しさとは……?


「ウ、ウマレル! ウマレル!」

「マジ?! オレを置いていくなウ●コ!」


 落ち着け若。

 私は男だ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ