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第53話 配信者サバイバル! (1)



 配信者サバイバルに出演をすることになった俺たちは招待参加者が一同に集められた大きなホテルのフロアで説明を受けていた。

 

「では、招待参加者の皆様は軽食をお楽しみになりながら交流の機会を存分にお過ごしくださいませ」


 招待参加者は見慣れた奴らばっかりだった。


「どーも、まさかナツキダンジョンさんが参加なんてねえ〜」


 と俺たちに声をかけてきたのはタクマヒカルという二人組のダンジョン配信者だった。彼らは金色の髪と銀色の髪の派手な装いでなんというかまぁイキっている感じだ。


「ははは、どうも」


「いや〜、俺たち連覇記録保持者ですんで。さすがに負けねぇ!」


 彼らは前回大会の優勝者で普段も強力なモンスターを2人がかりでなぶり殺しにする配信をしている。何度かみたことがあるが……あまり気持ちのいいものではなかったような。


長田タクマ

固有スキル:超跳躍

その他スキル:魔法(全般)、剣術(S)



渡辺ヒカル

固有スキル:弱点特攻

その他スキル:魔法(全般)、弓術(S)



 メラメラと闘争心溢れる瞳で俺にガンを飛ばすと、2人はケータリングの方へと歩いて行った。なんというか肩で風を切って歩く田舎のヤンキー感がすごい。年齢は俺よりも少し上だろうか?

 いや、ヤンキー陽キャって年齢不詳だからな……。


「な〜んか、感じ悪かったね」


「あ、あぁ……」


 俺はタクマヒカルではなく、別の男に気を取られていた。そいつはケータリングには目もくれず、ニヤニヤと俺を見つめている。


「私飲み物取ってくるね」


「ありがと」


「コーラでいい?」


「うん」



 千尋は食べ物に浮かれてケータリングコーナーの方へ小走りした。残念ながらマヨはない。

 彼女が俺から離れた途端、あの男が俺の方へ近寄ってくる。俺は逃げようとするもガシッと肩を掴まれた。



「久しぶり……大野夏樹くん」


 俺の脳裏にあの時の光景が蘇った。



***



「大野くーん、今日の下着は何色ですかぁ?」


「やめて! やめてってば!」


 一際体が大きく、ニタニタと笑みを浮かべた少年が俺を教室の後ろに追い詰めた。取り巻きの男たちに両腕を抑えられ、ズボンをずり下ろされる。


「うっわ〜、きっも! 写真撮っちゃおうぜ!」


 露わになった下着を見てわざと鼻を摘んだり、スマホを向けたりするいじめっ子たち。教室にいた他の生徒や女子たちも眉をひそめたり笑ったり。


「キモいやつにはこうだ!」


 ゴスッと腹に入るパンチで俺は膝から崩れ落ちる。


「キモキモ男は退治しないと!」


 嘔吐し、小便を漏らしその姿を撮影される。放課後の教室での出来事だった。親や先生にバレるのが怖くて俺は奴らが飽きて帰った後、後始末をした。そんなことが中学校に入ってからずっと続いていた。

 トイレの水を飲まされたことも、女子に告白させられたり虫を食わされたこともあった。


 俺は……全ては自分が弱いせいだと自分自身を呪い……ダンジョンへひとり入ることを決意したんだ。



***



 その顔は俺を嘲笑ったいじめっ子のボス、鬼頭きとうだった。


「俺のこと覚えてる? 大野くん」


 中学生の頃はもっとガタイが良くて、ラグビー選手のようなイメージだったが今は随分と細くなっていた。黒髪を流行りのセンター分けにして、体格もほっそりした筋肉質。

 こいつの中身を知らなければイケメンだと思うが俺はそうは思わない。最低野郎だ。


 鬼頭は他に聞こえないように俺の耳元で


「あれ? もしかして、まだビビってる? インキャがネット配信でバズっておんなじようなインキャ視聴者に讃えられて調子乗ってんなよ。俺がまたお前をメチャクチャにしてやるから」

 と囁きにやつく。


鬼頭ミチヒロ

固有スキル:???

その他スキル:妨害


「あ〜、やっぱインキャはきもいわ。俺の能力盗み見して騙し討ちしようたってそうは行かないぞ? きめーんだよ」


 妨害スキル。

 こいつ、ダンジョンでもないのにスキルを展開できるということはかなりの手練れだ。まぁ、こんな大会に出るくらいだし……。

 俺は過去のトラウマで震えが止まらなかった。

 こんだけの力をつけて、最強になったはずなのに。目の前にいるこいつにまた酷い目に遭わされるんじゃないかと心の奥で恐怖しているのだ。


「ナツキくーん、あれ? お知り合い?」


 千尋がオレンジジュースを持って戻ってくると、さっきまでニヤニヤ顔だった鬼頭は爽やかな笑顔になると。


「こんにちは! 実は小さい頃からの知り合いでね。久しぶりだって挨拶してたんだ。でも、僕たちはライバル同士……それじゃあね! 大野くん」





 




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