表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
窓の中のWILL―勇士様は高校生! 凸凹トリオが世界を救う―  作者: 担倉 刻
―Fourth World―  老舗の寿司屋は冷戦中につき休業中?
86/197

Chapter:86 「俺の目も曇ったな!」

「お前、じゃあ、自分の親父を、……なぜ!?」

「ヒロキ。お前、ああいうのが親父だったらどう思う」

「え……どうって、」

「村人を苦しめて、たくさんの女に手ェかけて、あまつさえ男にまで手ェ出そうとする親父を、お前、どう思う」

「……そ、それ……は」

「俺も、待ってた。【伝説の勇士】を。だけどいつまで待ったって来やしないし、日を追うごとに親父が憎たらしくて仕方なくなるばかりで――」

「だからって殺すのかよ、お前、親だぞ、あれでも――あ、いや、あれってのは悪いか、ああ、とにかく、自分の親をそう簡単に殺せるか!?」

「殺せる」

 瞳にいやな光がよぎる。

「親父さえ死ねば――この村はまた平和になるんだ。俺がもう二度と不幸にはしない。【伝説の勇士】だって、そうするはずさ」

 出流が五月を押さえていた手を放して飛び出す前に、博希の何かが、切れた。

「しないね」

 穏やかだが怒りが過分に含まれた口調。出流は再び身を隠した。

「……イーくん、ヒロくん……怖い……」

「しっ」

「お前があいつらのことをどれだけ知ってんのか俺は知らない。だがな、俺が知ってるだけでも、少なくともあいつらは執政官を殺したことはない!」

 確かにない。出流と五月はうんうんとうなずいた。

「ふん、生温いな」

「なに……!?」

「じゃあ聞く! ヒロキ、お前は親父を憎んだことはないのか!?」

「……え……」

 博希の脳裏に、ちょうど今現在の、家での出来事がフラッシュバックした。夫婦喧嘩で茜を心配させ、家を混乱させているのは両親、特に父親だし、なにもそこまでという怒りは生まれたかもしれない。だがさすがに憎んだり、殺したいとまで思ったことはない。

 だいたい今回の件、もとはと言えばリテアルフィが引き起こしたことなのである。父親を憎むのはお門違いというものだ。

「俺は殺したいくらい父ちゃんを憎んだことなんてない、もしそんなことがあってもいつか必ず許せるって思ってる! ……お前は許せないのかもしれない、でもその原因っての、考えたことはあるのかよ?! ディル、お前の父ちゃんはずっとああだったのか。違うだろ!?」

「……そうだ。前はあんなじゃなかった。……でも、」

「でも!?」

「もう、止められない。せめてもう少し早く、お前たちに出会えていればよかった」

 ディルはそう言うなり、立ち上がって、走り出した。

「ディルっ!」

 急いであとを追おうとする博希の肩に、出流が手を置く。

「博希サン、――腹は括りましたね?」

「とっくに括ってら」

「行こう? ディル、なにするか解らないよ」

 三人はディルのあとを追った。



 ドアはノックもされずに叩き壊された。

「……来たな、ディル。俺の息子」

「てめェなんぞに息子呼ばわりされるとヘドが出るぜ!」

「実の父親に向かってなんという口の聞き方だ。……お前が俺に勝てると思っているのか」

「……思ってるさ……てめェは俺の力が怖かったからここに入れたんだろう!? それも無理やりにこじつけてな! それで死にさえすればいいとでも思ったんだろうが甘かったな、俺ァ人一倍丈夫にできてんだよ!」

「ふん。……お前だけが俺の後継者たる者だと思っていたが、俺の目も曇ったな!」

 ぶいん、と、丸太ん棒のような腕が、ディルに伸ばされる。

 その風圧は腕をよけたディルの髪をなびかせるほどだった。

「後継者だ? 気色の悪い! 誰がてめェなんかの跡を継ぐかよ!」

「ならばおとなしく――死ね!」

「死ぬのはそっちだ! 俺がてめェを殺してやる!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ