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窓の中のWILL―勇士様は高校生! 凸凹トリオが世界を救う―  作者: 担倉 刻
―Fourth World―  老舗の寿司屋は冷戦中につき休業中?
72/197

Chapter:72 「あげないよ、ぼくたちの世界だもん!」

 陽炎が揺らいだ。

 少年の両手に炎が生まれ、丸く形を成す。

「レジェンドプロテクター・チェンジ!」

「勇猛邁進・鎧冑変化!」

「ヨロイヨデロー!」

 三人はほとんど同時に叫んだ。

 丸い炎は三人をめがけて複数個に散らばり、それぞれを狙う。

「必殺必中!」

 出流の矢が炎を貫いた。破けた炎はぼとりぼとりと落ち、新たな陽炎となって暑さを生む。

「やるねぇ」

 少年はにっこりと笑った。

「でも残念だけどここで戦うつもりはないんだ、ボクの都市を破壊するわけにはいかないからね」

「あなたの都市!? ではあなたはまさか――」

「総統か、お前! まだ子どもだろ!?」

 剣を構えた博希の言葉に、少年は少しムッとした。

「子どもじゃないよ……ボクの名はオレンジファイ総統、リテアルフィ! アイルッシュはボクがもらうね、【伝説の勇士】。とても面白い世界だって聞いてるからさ……!」

「ええっ」

 五月が汗で顔に髪を貼りつかせて叫んだ。

「もらうってなに! あげないよ、ぼくたちの世界だもん!」

「さあ、それはどうかな……じゃあね」

 リテアルフィはそれこそ、まるで陽炎のようにかき消えてしまった。

「喧嘩を売りやがったな……!」

 博希がぎりっと奥歯を噛む。

「出流! 五月! すぐ帰るぞ!」

「罠かもしれませんよ!」

「でもでも、あの子がホントにアイルッシュをもらうつもりなら、この前とおんなじことになっちゃうかも……!」

 五月の言うとおりだった。自分の都市を破壊したくなくてここで戦うつもりはない、というのも理屈としては確かだし、罠かもしれないが、戻ってリテアルフィを止めるしかない。

「……五月サン、フォルシーを呼んでください!」

「うん!」

 五月が素早く笛を吹く。

 フォルシーはすぐにやってきて、三人を乗せて飛び立った。



「リテアルフィがアイルッシュに向かった!?」

 三人から状況を聞いたスカフィードは、先程感じた“ほころび”の正体を知った。

「売られた喧嘩は買わねーとなァ! だからいったん帰るんだ!」

 博希が鼻息荒く、机をバンバンと叩く。

「わかった、しかし、くれぐれも気をつけろよ」

「おうさ」

「いきますよ――『ホールディア』!」

 三人を飲み込んで、“ほころび”は消えた。

「勇士たる三人を挑発するとは……余程自信があるのか、リテアルフィ……」



「到着っ」

 今度はうまく着地して、三人は温室に戻ってきた。

 きい、と静かに扉を開けて外に出る。

「今、ちょうど午前十時ですね……」

 出ていく前とは明らかに違う熱気が、あたりを包んでいた。

「ね、ね、イーくん。こんなに暑くなるものかしら」

 いくら夏で、出て行ったのが早朝だったとはいえ、この時間、博希たちの住む地域でこれだけ暑くなるのは異常なことだった。

 肌の白い五月が汗をダラダラと流す。

「まさか、もうリテアルフィがなんかおっぱじめてんじゃねぇだろうな!」

 博希が空を見て叫んだ。

「リテアルフィを捜しましょう、この気候が続けば危険です!」

 駆けだす三人を、安土宮が陰から見つめていた――――。


「いい天気だな、今日は。リテアルフィが戦うにふさわしい」


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