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窓の中のWILL―勇士様は高校生! 凸凹トリオが世界を救う―  作者: 担倉 刻
―Third World―  男と女のイロハニホヘト
61/197

Chapter:61 「そのようなモノです」

「朝ですよお」

 出流が博希と五月の布団をめくりにきた。

「さぶいっ、もう少し寝かせろよ!」

「シャワーを浴びるのではなかったんですか。早くしないと五月サンが入ってしまいますよ。泡だらけのお風呂は一番キライでしょう」

「そりゃイヤだ」

「じゃあ早くお起きなさい! 僕は五月サンを起こします」

 布団を抱きしめてぐにぐにとうねる博希を横目に見ながら、出流は五月を揺り動かした。

「五月サン。朝ですよ」

「……ん――。イーくん」

「はい、何ですか?」

「ヒトバシラ」

「は!?」

 出流は一瞬、五月がまだ夢の中にいるのかと思った。ヒトデと貝柱の夢でも見ているのか――と、そう、思ったわけである。

「五月? 何寝ぼけてるんだあ?」

 博希が五月の頭をくしゃっとやる。

「寝ぼけてないよ、ヒトバシラ。ねえ、イーくぅん」

「ねえと言われましてもね」

 出流は頭の中で辞書をめくった。

「ヒトバシラ……ああ、ひょっとして、人柱、ですか?」

「人柱、あ――、なるほどなあ。それがどうかしたのか?」

「うん、あのね、……」

「その話はひとまず、顔を洗ってからにしましょうね、さあ、いってらっしゃい」

「うん」

 五月は、顔を洗いに洗面所兼風呂に向かった。

「僕が五月サンから詳しい話を聞きます。その間に、博希サンはシャワーでも浴びていてください」

「解った」

 出流は顔を洗い終わった五月と、向かい合わせに座った。

「ね、【ヒトバシラ】って、なあに」

 出流は言葉を探した。どうにかして辞典的解釈を、五月に解るように噛み砕いて説明しなくてはならない。そのまま説明してしまえば、辞書の二度引きになってしまう。

「五月サン、【生け贄】は解りますか?」

「解るよ」

「そのようなモノです」

 実に三十秒と経たずに説明が完了した。

「どういうこと。じゃあ、……」

「今度は僕が聞く番ですね。【人柱】なんて言葉、五月サンはどこで聞いたんです」

「あのね、んとね、……」

 五月は出流に、昨夜聞いたことを、思い出せるだけ話した。

「ヒトバシラは今度、明後日でね、男の人がヒトバシラでね、……」

 聞いたことのほとんどを思い出せているのは非常に優秀である。少々ごっちゃになってしまっているのは否めないが。

「え――と……では、明後日……もう明日かもしれませんが、それが人柱の日なんですね?」

「うん」

 出流は頭の中でひとつひとつを整理しつつ、五月に丁寧に聞いていった。

「人柱は男の方が?」

「それで平和なんだって、この村」

 五月が昨夜、隣の部屋から聞いた会話の内容は、なんとか、出流の知るところになった。ちょうどその頃、博希が出てきた。

「待たせたな」

「いえ、そんなに待ってません」

 出流はそう言って笑いながら、博希が頭をわしわしと拭くのを見守った。

「で?」

 博希が首にタオルをかけてそう聞くので、出流はさっき自分が五月の話から得た情報を彼に伝えた。

「ふん……とにかくこの都市は、男という男をヨソにやりたいわけだな」

「そういう事になりますかね。……とりあえず、人柱があるという日までは、この村に滞在しましょう」



 この日も、ホワイトキャッスルは、白く、黒かった。

「来ると、思っていた」

「あなたにごまかしは利かぬということ、ですか」

「――さて何の用、かな。ファンフィーヌ」

「しらばくれられるおつもりですか――レドルアビデ様」

 二人の間に――ごおっと、わずかな風が起きたような、共通感覚が生まれた。

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