水もしたたる良い男
新キャラ視点です。
ミオ視点かと思った?ねぇ、ねぇ!
すいません。少し暗い感じになっています。お気をつけください。
俺は水もしたたる良い男になりたかった。
しかし、俺は水がしたたる男になっていた。それはもう、文字通りに......
ばしゃ
「あっ、てが滑った(笑)」
「ちっ、避けろよそのぐらい」
「あはっ、見ろよ。ずぶ濡れだぜ」
「だっせー」
歩いていると、急に水が降ってくる。そんなことがほぼ毎日起こっていた。
「はぁ」
しかし、もう慣れたものでトイレに行き、パッと着替える。そして、何事もなかったように教室に戻る。
それが、あいつらには気に入らないようでいじめは日に日にエスカレートしていった。
そして、その結果、ついには暴行まで受けるようになった。
「おらぁ、どうした?やり返してみろよ!」
「ほらほら」
本当に痛い。こいつらはこんなことをして楽しいのか?人をいじめて楽しいか?
あぁ、そうだよな。楽しいよな。だって人は劣っている者を見て優越感を得る生き物なんだから。最高だろう。たまらないだろう。自分が見下している側なら。
黙ってみているやつもそうだ。自分が苛められたくないから見て見ぬふりをする。だれも、高校生になって綺麗事を言うやつはいない。
それは、教師も同じだ。いじめが起きて、その事が知られると自分の評価が下がる。だから上には報告しない。俺が黙っていれば良いのだから。
いくら相談しても無駄だ。誰も助けてくれない。
だって、どれだけ綺麗事をいっていても結局は自分が一番大切なのだから。他人がどうなってもどうでも良い。
人はそういう醜い生き物だ。当然俺も。
「ただいま」
「お帰り......ってどうしたのその怪我!?お兄ちゃん学校で何かあったの?」
「なんでもないよ」
家に帰っても親はいない。俺と妹を放ってどこかへ消えた。
今まで二人で暮らしてきたからだろう。妹の彩葉は俺になついてくれている。
唯一俺を心配してくれる人。その存在はとても大きかった。
「絶対嘘だよね!とりあえず怪我見せて」
「大丈夫だって」
「もう、良いからじっとしてて」
「いたっ」
こんなに優しく可愛い妹を放って逝くのは心苦しいが、もう疲れてしまった。
「ありがとう」
「いいよ。気にしないで」
本当に俺には勿体ない良くできた妹だと思う。
おかげで少し心が揺らいだが何とか踏みとどまることができた。
「明日だな」
俺は覚悟を決めた。
「おい、そこから降りろ!死ぬ気か!」
担任が俺に向かってそう言う。
「あぁ、そうだよ」
今俺は屋上にいる。もちろんそこはとても目立ち、すぐに人が集まってくる。だって、そのためにここにしたのだから。
見ていた人、特にいじめたやつ、それを知りながら無視したやつにトラウマを植え付ける。それが俺にできる最後の復讐だ。
「どうしてだ?」
「どうして?そんなの決まってるだろ。疲れたんだよ生きるのが......苛められて、誰も助けてくれない」
「なら、相談しろよ」
「はぁ?相談?それをしてなにか変わるか?変わらないだろ。いじめが終わる訳でもない、さらにエスカレートするだけだ」
死ぬまでにできるだけ心に刻んでやる。お前らが行ってきたことの罪を。
「そんなこと......」
「あるだろ」
教師は俺を止めようとしている。だが、それも俺のためではない。自分だためだ。評価が下がらないように。
逆にいじめたやつは、クスクスと笑っている。どうせ死ぬと思っていないのだろう。そして、もし死んだとしても関係ないと思っているのだろう。
安心しろ。お前らのことを書いたメモをポケットにいれている。これでお前らの人生も終わりだよ。別に数人を道連れにしてもよかったが、それだと妹に迷惑がかかる。まあ、これだけでも十分かかると思うが。
さて、それじゃあ、俺の姿をしっかりと心に刻むんだな。
「せいぜい苦しめよ」
その日の天気はなんとも言えない曇り空だった。
『最後の復讐』
死して尚、復讐をする。それは、最後にできる唯一の足掻きである。
~
俺は、見知らぬ場所にいた。
ここが死後の世界かな。あぁ、あいつらは今ごろどうしてるかなぁ。苦しんでるかな。そうだと良いな。
そんなことを考える俺に何故か火の玉が向かってきていた。
「うわぁぁぁ」
なんだよこれ!?
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