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一人で稼いだ方が得

「明日はどのクエストを受けるか聞いているの」

「わからないが、お前とは行かないからな」


 こんな足手まといを連れていって、お金をとられる。俺にとってなにひとついいことがない。


「どうしてよ。パーティーメンバーを放っていくなんて酷いじゃない」

「お前とパーティーメンバーになった覚えはない」

「見捨てるの?」


 少しうるうるした目で見つめてくる。だが、完全に演技だ。その証拠に少しにやけている。


「見捨てる」

「ひ、酷いっ!用が済んだらポイなの!?あなたにとって私は都合の良い女だったのね!最低よ!」


 そんなことを大声で言い出す。そんなことをすればもちろん視線が集まるわけで......

 そして、この状況を見れば誰しも俺が悪いと思うのだろう。


「あの男最低ね」

「全くよ。あんなに小さいのに女遊びなんて覚えて」

「あんなかわいい子を......」

「リア充は死ねぇ!」


 そんな言葉が聞こえてくる。よく見てほしい。いまこいつが完全に勝ち誇った顔をしていることを。

 殴りたい。すごく殴りたい。しかし、こんな中で殴れば、さらに俺の立場が悪くなる。


「さあ、これからもパーティーを組んでくれるなら誤解を解いてきてあげてもいいのよ」

「うっ......」


 別にこのままでも別の町にいけばいいのかもしれないが......

 いや、しかし情報網を侮ってはいけない。すぐに噂なんて広がる。特に悪い噂は......まあ、少し経てば忘れられたりするが。

 ......はぁ。俺が得することが、少なすぎる。いや、無い。どうにかして回避しなければ!


「どうして俺なんだ?他のやつでもいいだろ」

「......誰も組んでくれないのよ。こんなチビで弱い女なんかと」


 だろうね。誰も組みたくないだろう。


「ちょっと!否定しなさいよ」

「事実だし」

「......まあ、そんなわけで弱みを握ったり、恩を売ったりするしかないと思ったの」

「最低だな」


 俺を最低と言っていたが、お前だろ。弱味を握っている人に頼めばそれはお願いではなく、脅迫だ。


「違うよ。賢いんだよ」

「そうかそうか。それなら、お前とパーティーを組むことの利点は?」

「メリット?......この誤解が解ける」


 絶対に賢くないだろ。どちらかと言えばアホだろ。


「他は?」

「無いよ」


 無いらしい。なら本当にこの町を出ていこうかな。ある程度離れれば大丈夫だろう。


「それじゃあ」

「待って!じゃ、じゃあ魔法を教えてあげる。きっと楽に戦えるようになるよ」

「魔法......」


 前に見た洗浄魔法は別に必要ないが、戦闘に使えるのであれば便利だな。


「お前使えるのか?」


 こいつは戦闘中魔法を全く使っていなかった。もしかすると嘘かもしれない。


「使えるわよ」

「なら何故戦闘中に使わなかった?」

「剣の方が得意だからよ」

「ゴブリンに負けたのに?」


 いっていることが本当なら、こいつの魔法は使い物になら無いのでは?最弱よりも弱いって......


「実戦は初めてだったのよ」

「それでもなぁ」

「そ、それよりも結局組んでくれるの?」


 話を変えやがった。いいんだけどね、どうでも。


「組まない」

「どうして!?わ、わかったわよ。私の取り分は四分の一で良いわよ」


 いったい何がわかったのだろうか。


「全部寄越せ」

「それはさすがに無理よ!私だってお金が必要なの」


 それならこの条件はかなり厳しいのではないだろうか。一人で稼いだ方が......あっ、無理か。


「ねっ、お願い」


 ミオが頭を下げてくる。それにより、回りの視線がより一層強くなる。

 面倒くさくなったしもう良いかな。それなりに言い条件だし、もしかするとミオが強くなるかもしれないし......ないかぁ。


「なっ、何よ!」

「はぁ、良いよ。組んでやるよ」

「本当!やったぁ~」

「よかったな。それじゃあ早く行ってこい」


 悪い噂が広がって俺がここに居にくくなる前に。


「どこに?」

「誤解を解きに」

「忘れてた」

「おい」

「いてっ」

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