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観察

とりあえず、昨日起きたことを整理する。


私は勇者アディの後を付けて森の中に入ったのだが、突然何者かが私の背後を襲ってきた。

おそらく森の中に潜んでいた魔獣が私を人間と勘違いして襲ったのだろう。

そして、そこをアディに救われた。

その後私はアディと共にルオークの街に戻り、休むための部屋も用意してくれた。


そして朝を迎え、現在に至る。

私は窓のカーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。

思いのほかぐっすり眠ってしまった。昨日までの疲れが全部取れたような感じだ。

私はベッドの上で大きく伸びをする。さて、これからどうしようか。と、思ったら部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「リア、起きてる?僕たちはこれから出かけるけど、ゆっくりしていいから。」

アディの声だ。

「あ、うん、ありがとう。」

・・・何を言ってるんだろう。これから殺そうとしている標的なのに。ってか、今に至るまでチャンスはあった。あったのはあったが、森の中の光景、アディが手にしている立派な剣で一瞬のうちに魔獣を斬り殺したのを目撃してしまったら、いくらチャンスがあっても無理だと本能で判断した。


1対1でまともに戦っては、『絶対に』勝てない。


しかし、得られた事もあった。

私の今の姿は、魔獣が人間と間違うほど、人間の姿であると言うことだ。

このメリットを十分に生かさなければならない。

そうだな・・・まずはアディを観察しよう。その中からチャンスを見つけて殺してしまえば良い。

そう考えた私は、すぐさま身支度を済ませ、アディの後を、見つからないようにつけていった。




アディはルオークの街の一番賑わっている大通りから路地に入り、ほとんど人気の無い道を通ってその奥にある大きな建物の中に入っていった。

ここは何をするところなんだろう?そう思って建物の影から顔を出して覗いてみる。

「こ~らっ!!」

「ひあっ!?」

びっくりした。口から腸が飛び出るかと思った。突然背後から雌の声が聞こえ、肩を叩かれたのだ。

「あんた、アディの後をつけていたようだけど、何者なの?もしかして・・・あんたもアディのこと、狙っているの?」

狙っている?この人間もアディを殺そうとしている仲間?

「そうよね~アディみたいな可愛い子、放っておく事できないわよね~。ぎゅっと抱きしめて食べちゃいたいぐらい。」

「そ、そうよね・・・」

とりあえず話を合わせた。

「そして、将来はアディの子供を産んで、一生一緒に暮らしたいわ~。魔王を倒した後に。」

アディの仲間!?

「あれ?ミーアじゃん、それにリアも。こんなところでどうしたの?」

・・・アディに見つかってしまった。

「へ?あんたがリア?ふ~ん、アディからいろいろ聞いていたけど、なかなかの美人さんね。私はミーア、よろしくね。(くそっ、ライバルが現れたか。)」

何か小声でしゃべっているようだけど。

「私はリア、よろしく。アディがあの建物に入って行ったのを見ちゃって、ここで何しているのかなって。」

「ふ~ん・・・」

ミーアがこっちをジロジロと見ている。もしかして、怪しまれている?

「僕は倒した魔物をここでお金に換金していたんだよ。魔物の体の一部をここに持ち込むことでお金にしてくれるんだ。僕たちはそうやって生活しているんだよ。」

「で、今回の成果はどうだったの?」

「うーん、まだまだ目標までは時間がかかるかな・・・。」

アディはそう言って手にしている袋の中をミーアに見せる。

「あちゃー、全然じゃん。こんなんじゃ、いつまでかかるかわからないわよ。」

「そうはいっても、このあたりじゃ稼げる魔物がいないし。」

「それはわかっているけど・・・何か良い方法は無いかな~?」

うーんと唸ったままの二人。


「あの、私にも詳しい話聞かせてくれないかな?何か力になれるかもしれないし。」


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