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中年派遣男子のやってられない日常  作者: 中年派遣男子
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ずっとエンジンがかかるタイミングが悪い子だった

ずっと頑張るタイミングがわるい子だった。


がんばれないわけではない。我慢もできる。でも、そのちからを発揮するタイミングがいつも悪かったと思う。


ツボが違っていたのだ。


そして、非正規な私になっていた。


がんばる「こと」を間違っていたわけではないと思う。


対象ではなく、タイミングが違っていたのだ。


どうしてそこでがんばっちゃったの? もうちょっと後だったほうが良かったのに・・・とか、逆に、どうしてあのとき頑張れなかったのだろう。あんなチャンス二度となかったのに・・・などという感じ。


しかし、言い訳させてもらうと、このタイミングというやつは自分の選択ミスうんぬんというより、時代がもたらすものだ。


選択の余地のあまりないものだ。


だから、みんなこの年になったら就活を頑張るとか、そういった動き方をしてしまう。


ちょっとずらしておいたほうが良かったということが多いというのに。


人と同じことをしていては幸せになれないというのに、同じ流れに乗ってしまう。平凡な自分はそうするしかないと思い込んで。


政府は企業とタッグを組んで多くの非正規を産んだ。


しかし、それに抗い立派に正規となり、お金をたくさん稼ぎ、妻を娶り、子をなし、それを立派に育て上げた人もたくさんいた。


そういった能力の高い人がいる限り、そこを零れた人間は「ダメ人間」である。


世のなかは相対評価でできているので、仕方ない。


時代のせいにしてはだめ。こんなふうに非正規で低収入になったのは自分のせい。努力が足りなかった。能力が足りなかった。


そう思って、ひどい扱いをうけても、報われなくてもがんばってきた。


ダメな自分には文句を言う権利がないと思っていた。しかし、最近、そうではないのではないかと思うようになってきた。


政府は自分達のミスを認め、氷河期世代を救いはじめた(このままじゃ生活保護が膨れ上がるという利己的な理由がメインだが)。


転職サイトから飛んでくるスカウトメールの内容も改善しはじめた。


こっちは年をとり、新しいスキルもついてないので、日々、転職偏差値は落ち続けているというのにだ。


つまり、個人の努力なんてものはとるに足らないもので、世間の需給(人手不足)とか、政府の方針とか、そういったことで改善しているのである。


だったら、これまでの個人の我慢とか努力って何だったの?


ふざけんなよ。


やってられない。


「ほら、いまがチャンスだよ」みたいにエサをたらされても、精神的にも肉体的にももうボロボロで頑張れないんだよ。


がんばりたくないんだよ。


ほんとにふざけんな。小さなエサをちらつかせただけで、また元気に走るとか思うなよ。


中年の蓄積した疲れとか黒い気持ちとか、抱え込んだ闇とかすごいんだからな。


ずっと我慢して文句も言わずに頑張ってきた。それしか方法がなかったから。


「我慢してきたね、偉かったね」と言われても、「ありがとう、やっと報われます」って走り出せるような前向きさとか明るさは、もう失ってますよ。


頑張らせようとするな。ふざけんな。


生活保護もらってやる。政府が一番恐れていることをやってやる。これまで苦しめ続けられたんだから・・・


とかいっても、小心で勤勉で真面目しか取り柄がない自分は、税金をはらいながら、人に決して迷惑をかけることなく、でも、褒められることもなく、静かに地味に生きていくのだろう。


大した喜びを感じることもなく。


暗いけど、これが事実。


世のなかの明るいことを手にするにはお金が必要だしね。それが欠けてたら、人生は薄暗いモノになるよ、リアルな話。


ずっと目をふせていたもの、一方的に我慢してきたもの(それしか手がないと思っていて)、それが覆りつつある昨今、自分を抑えてきた非正規は「やっと報われる」ではなく、「いままでってマジでなんだったの?」って不満に苦しめられるのではないでしょうか。



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