表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中年派遣男子のやってられない日常  作者: 中年派遣男子
27/42

政府が非正規にもたらす新たな「絶望」

政府って勝手ですね。


これまでは大企業と組んで、氷河期世代を非正規で安くこき使い、このままじゃみんな生活保護になっちゃう、それに人手不足もマジ半端ないところまできたし、移民政策なんてそんなにうまくいかないぞこりゃってことがわかったとたんに、氷河期世代の非正規を救いましょうってヒーローきどりで登場。


大企業も非正規で浮かした人件費をたっぷり貯金した(そして、えらい金額になった内部留保で慣れないM&Aとかにチャレンジして失敗してんのね。非正規から搾取した金をこんなふうに海外に奪われる馬鹿な日本の大企業ってなんなんでしょうね)後に、さすがにこれも限界か、人手不足も本格化してきたし、高齢化も思ったより早いし、少子化も歯止めがかからないし、仕方ないから少しは正規を増やすか、って政策転換。


バカにすんなよ、馬鹿野郎。


今さら正規にしてやるって言われても、ちっともうれしくない。これまで搾取された時間や能力の分をきっちりお金でくれるなら別だけど、そんな魔法は起こらないし。


氷河期世代が失ったものは、ほんとに取りかえしがつかない。これから時間をかけて埋めようと思っても、埋まるものではないのです。


どこかの市役所が氷河期世代を正規職員にすると募集をかけたら、何百倍になったとか、ああいったニュースを見ると、ほんとに気分が暗くなる。


やっと手を差し伸べてくれたか・・・ではなく、これまで散々苦労したのに、新たな高いハードルをまた課すのか・・・と。


世代が違えば簡単に手にはいったものを、ものすごい倍率で目の前に垂らされる。


客観的に見たらちっさなちっさな人参だよ。それなのに・・・不幸な馬です、氷河期世代は。


一生、どこまでいっても、非情なタフさを求められる競走馬。


そして、その高い高いハードルを超えたところで、先に待っているのは、正規の椅子と初任給に毛が生えた程度の待遇。


三十代とか四十代の人間が豊かに暮らせる待遇じゃない。


これをどこまでありがたがれと?


正規ってそんなにいいの?


非正規がひどいってことは知ってるけど、正規もそれほど良くないでしょ。人とか会社によるでしょ。


それぐらいはわかってんのよ。非正規がやみくもに正規をうらやましがってるなんて、正規の人間は本気で思ってるから、もう救いようがないよね。


こんな溝が埋まるわけはないし、こんなふうにして高いハードルを超えて非正規が正規になっても、同じ職場で働けば「溝」を感じて、ギクシャクするだけでしょう。


誰の幸せにもつながらない。まさしくルーズルーズな関係。


非正規がどんなに頑張ろうと、氷河期にこぼれずにちゃんと活躍した正規がいる限り、時代から零れ落ちた非正規は「能力がない」「努力が足りない」という色眼鏡で一生見られるのです。


こういった評価は覆せない。


覆したところで、それも過小評価されたものです。正当には評価されない。どこまでいっても、「引き算」されて見られるので、本人が満足できる評価は手に入らないはずです。


何百倍の倍率を超えて正規になっても、そこで手に入れたものの小ささに愕然とするはずです。


こんなもののために、この程度の小さな幸せのために、ここまで苦労させられたのか。運が良ければ、それは簡単に手に入ったはずなのに、と。


そして、周囲はそんな運のよい正規の社員にあふれているのです。


そんな人たちと仲良くやっていけるのか・・・そりゃ、仲良くはやるだろうけど、「違う生き物だ」とはっきり認識してはいるよね。絶対にほんとの意味では平等にならない。つながらない。冷たい職場の人間関係にこころが冷えること確実。


何が楽しいんだか、そんな就職。


運よく正規に転じた非正規はそんなふうに悩むかもしれない。でも、そんな彼らの気持ちを知らずに、試験に落ちたほう、正規になれなかったほうは、正規になれた人をただ羨み、恨むのです。


ろくでもない悪循環だね。救いがない。


氷河期世代に絞った求人はこれからも増えていくようです。


でも、それが正規からこぼれた人たちをどれだけ救うのか。


そうやって正規になれた人が、これまでのことをすっぱりと切り離し、どこまで「正規」を続けられるのか。


難しいでしょうね。


これまで失ったもの、してきた苦労、それを振り返りながら、喜びの涙を流しながら、手にしたものがとてつもなく小さいものに気づく・・・もう絶望しかない。


こんなふうに喜びから絶望にたたきつけられる非正規が続出するような気がします。


そりゃ正規になったほうが給料はあがる(一般的にね)。


だから正規になったほうがいい。でも、「たった、これだけ・・・」と本音のところで元非正規は思うのです。ずっと正規だった同世代の半分ぐらいじゃんって。


これじゃ、ぜんぜん取り戻せないよ・・・って。せつないねえ。ほんとに残酷だと思うよ。絶望しかない。


それに働きはじめたら、「救ってもらった非正規」ってレッテルに苦しむだろうな。


時代にこぼれなかった正規の人は容赦なくマウンティングしてくるだろうし(彼らには彼らなりの苦労があったはずだから、政策に救われたきた非正規にはとことん冷たいはずです)。


どこまでいっても、いったん「非正規」に落ちた人間に組織の中での幸せはないのです。


政府にやってほしいのは、もっとフリーで人が働ける環境を作ってほしいということ。


今や日本人は組織(企業)で働く以外食べていく方法はありません。


一部の力のあるひとは経営者になったりフリーになってりしてますが、凡人はそうはいかない。


昔は小さな商売で食べていけたが、今はそれも無理。


SNSで食べていけるような器用さは氷河期世代はもってない。そのノウハウを持っているのは20代以下です。だから、30代以上は組織に隷属するしかなくなる。鬱とか病みまくってもね。


そこを直してくれたほうが、組織に属せず生きていける選択肢を増やしてくれたほうが、実は組織に戻れるようにしてくれるよりも何倍もありがたかったりするのです。


何度も言いますが、一度組織からこぼれた非正規が組織に正規で戻っても、そこには絶対に幸せはないはずです(正規も非正規も経験あるから、断言できます)。


いかなる理由であっても、組織から零れ落ちた人間を、組織は絶対に温かく迎えいれないはずなので(優しいのは一瞬。最初だけだよ)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ