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神宿りの剣士  作者: 陽山純樹


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第四十四話 本来の目的

 モルバーの領地内から抜け出した後、ひとまず何事もなく俺達はフェリアの屋敷まで戻ってくることができた。


「ご苦労だったな。こちらは特に何もなかったぞ」


 そうフェリアは出迎え、俺達を客室へと通す。そこにはロベルドもおり、


「セレス、帰ってきたか……どうだった?」

「作戦は成功した」


 短く答えた後、キャシーは部屋を離れ四人だけで打ち合わせを行う。


「さて、ひとまずモルバーに対処したことにより、戦いは大きく進展した」


 と、フェリアが語り始める。


「少なくとも背を撃たれるようなことはなくなったわけだ……では次、といいたいところだが……イザルデの動きがおかしいため、少し様子をみようと思う」

「おかしい?」


 聞き返すとフェリアは頷き、


「まあ、なんというか……今まで攻め一辺倒だったのが動きが鈍くなり、停滞し始めた。リイドを始めとして手駒を失ったためと考えることもできるのだが……過去部下を失っても攻勢を仕掛けていたからな。逆に動きが鈍って警戒している」


 ……俺のことがバレたとかだろうか? しかしそうなるとモルバーの所へ赴いていた時にフェリアの屋敷を襲撃してもおかしくない。

 モルバーも言っていたが、どうやらイザルデには疑問がつきまとう……この敵については俺の物語の枠外である以上、こちらも細心の注意を払うことにしよう。


「そこで、だ。セレスにはもう一つ別のことをやってもらいたい」


 ロベルドが告げる。別のこと?


「というよりセレス、邪神を消すための準備を進めるべきではないかと」

「今のうちに?」

「ああ、そうだ。イザルデも同じ力を持っているとしたら、その力がこの戦いにおいても有効になるかもしれん」


 なるほど、な。そういうことなら確かに動きが鈍っている今のうちにやっておいた方がいいかもしれない。


「けど、離れたらどのくらいで帰ってくるのかわからないぞ?」

「こちらとしても情勢が悪くなる前にしっかりと準備しておいてほしいんだよ」


 ロベルドは語る……うーん、確かにイザルデについて気にしていては何もできなくなるけど。


「モルバーが味方になった以上、私達はイザルデとの戦いに集中できる」


 と、ロベルドに続きフェリアが述べる。


「よって、仮に仕掛けてきてもそれなりに対応できるさ。ロベルドもいるからな」

「それに、現状ではセレスだってイザルデと直接対決となってもどうなるかわからないだろう?」


 さらにロベルドが告げる。


「こちらとしてはすぐにでもイザルデに対抗できる戦力が必要だ。それにはセレス……邪神を滅するための準備を進めてもらうのが一番だ」

「わかった。なら遺跡へ行かせてもらうよ」


 邪神を滅するために先に準備しておくのはいい。というわけで、俺は本来の旅の目的を果たすために動くことに。

 元々砂漠の遺跡を出てからはそこへ向かうつもりだったのだ。それをやや遠回りながらここで達成しておく……悪くない。


「セレス、時間はどの程度掛かりそうだ?」


 ロベルドの問いに俺は少し思案し、


「山へ行くことになるから……正直、どのくらいになるのかわからないな」

「こちらは連絡をとれるようにしておく。焦らなくていいからな……それとリュハはどうする?」


 ロベルドがさらに尋ねると、当のリュハは首をこちらへ向けた。

 正直、悩んでいたところだ。邪神そのものは意思が存在するため、俺が離れることにより何かが起きる可能性も否定はできない。


「連れていってもいいんじゃないか?」


 そんな提案をしたのはフェリアだ。


「邪神が悪さをしでかす可能性もあるんだろ? それに、モルバーとの戦いで彼女も貢献したそうじゃないか。戦力としても十分だろう」

「……リュハ、どうだ?」

「私は、セレスに従うよ」


 どうすべきか……といっても邪神については絶対に間違いがないようにしたいところ。よって結論は、


「わかった。俺とリュハで遺跡へ向かうよ」


 結論が出たので、ひとまず話し合いは終了し解散となる。ひとまず今日のところは休むかと思い部屋へ向かおうとしたのだが、


「セレス」


 リュハが俺のことを呼び止めた。


「ん、どうした? 邪神に変化でもあったか?」

「ううん、体の方は大丈夫……セレス、本当にいいの?」

「同行することか。まあ懸念がないわけじゃないけど……」


 俺達が今から赴くのは女神の遺跡。邪神を持つリュハに何かしら反応する罠とかあってもおかしくない。

 というより、物語上には遺跡を守る守護者がいた。それは人ではなく、女神によって創り出された存在。そいつと交戦する際、リュハの存在は重荷になるかもしれないが……いや、守護者相手に苦戦するようならイザルデになんて勝てないだろう。これはいい試練だと受け取ることにしよう。


 女神の血筋である俺なら遺跡に入っても問題ないとかならいいんだけど、あいにくそういう設定にはしていなかったからな……たぶん襲い掛かってくるだろう。まあ本当に俺の物語通りなのか判然としないところはあるわけだが……しっかり準備はしないと。


「よし、リュハ。明日から行動開始するとして、最寄りの町まで向かう。そこで色々と準備をしてから、遺跡へ向かうぞ」

「わかった」


 素直に頷くリュハ。本当に大丈夫なのかと彼女の表情は不安に満ちていたが……俺は「平気だよ」と答え、彼女を安心させるべく頭を撫でた。


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