テンプレ遭遇
(なんだ‥こいつ‥明らかに他の魔物とは雰囲気が違うんですけど)
今、俺の目の前には俺の身長より二倍くらいでかく、そして赤い鬼が殺気を放ちながら立っている。幸いこちらには気付いた様子はない。
(どうする‥戦うか、逃げるかどちらにしてもまずは情報だよな)
俺は『心眼』を使う。
名前 : ブラッドオーガ
Lv20
HP200/200
MP 20/20
攻撃力 : 200
防御力 : 250
素早さ : 80
命中 : 50
知力: 30
回避 : 80
(ブラッドオーガ?こいつはゴブリンの亜種はじゃないのか?まぁ、どちらにしても強いことには変わらないけど)
次に俺は自分のステータスを表示した。
名前 : トダ・マサル
Lv13
HP400 /400
MP 360/360
攻撃力 : 190
防御力 : 95
素早さ : 190
命中 : 170
知力: 110
回避 : 180
幸運: 10
(相手のレベルは20に対して俺のレベルは13。レベルは下だが‥全体的には俺の方が上だ。けど、命をかける理由もないしここは逃げるとするか!ぶっちゃけ怖いし!)
俺は逃げることを決めると足を忍ばせてその場を離れようとした‥のだが
パキッ
(あっ、やべ。木の枝踏んづけちまった‥。)
俺が恐る恐る後ろを振り返るとブラッドオーガと目が合う。
「‥‥」
「‥‥」
周囲が静寂に包まれ、俺の額から冷や汗が流れる。
そして次の瞬間
「ガァァァ!」
ブラッドオーガが咆哮する。
「やっぱりこうなんのかよ!運がねぇな、チクショウ!」
俺はヤケクソ気味に刀を抜き、構える。
「こいよ!おらぁ!」
「グアァァ!」
お互いが叫び、こうして戦いの幕が切って落とされた。
「グァァァ!」
ブラッドオーガが叫びながらこちらに向かって拳を振り下ろす。
「無の型【夕霧】!」
俺はコブリンの時と同じように体をズラして回避する。
的を失ったブラッドオーガの拳はそのまま地面を殴りつける。
ドォン!
殴りつけられた地面が砕ける。
(げっ、マジかよ!どんだけヤベェ攻撃なんだ⁉︎食らったら即死じゃねぇか!)
俺はブラッドオーガから距離をとりながら内心驚く。
「グオォォ!」
ブラッドオーガは俺に攻撃を当てようと再び拳を振り回す。
「おっと!」
俺は再び【夕霧】で振り下ろされた拳を避ける。
「は、はは!なんだ拳を振り下ろすだけか。思ったよりも弱いじゃないか!」
攻撃を避けられることを実感したけとで俺は心に余裕が出てくる。
だからだろうか、俺はブラッドオーガが岩を持ち上げたことに気付くのが遅れる。
「しまった!」
「ガアアアアア!」
そしてブラッドオーガは岩を投げた。
「くそっ‥‥!」
回避が間に合わないことを悟った俺は刀でガードする。
ドン!
俺の身体は岩の衝撃で吹っ飛んび地面に叩きつけられる。
「ぐはぁ!」
痛みが身体を走り、苦痛に耐えながら俺はふらふらと立ち上がる。
(モロに食らっちまった‥。クソいてぇ!シャレにならんぞこれ‥‥)
文句を言いながら刀を見る。
そこは師匠に貰った刀。さすがに岩くらいでは折れた様子はない。
ステータスをみるとHPが200までに減っている。
「ガアアア!」
ブラッドオーガは好機と見るや叫びながらトドメを刺そうと距離を縮めてくる。
(HPが一撃で200も減ってる‥‥次食らったらお終いか‥‥なら、もうあれに賭けるしかないな)
俺は走ってくるブラッドオーガを見据え、刀を鞘にしまい姿勢を低くする。
「グオォォ!」
そしてブラッドオーガはトドメとばかりに拳を放った。
「お前の叫び方は二つしかねぇのかバカヤロー!!無の型【朧月】!」
俺は刀を抜き放つ。
無の型【朧月】
居合いの構えから放つ抜刀術。
放たれた刀は斬撃となり相手の首を落とす技。
「ガッ‥アッ⁉︎」
ブラッドオーガは声を上げたがすでに体に頭は繋がっていなかった。
そして首から血を吹き上げるとブラッドオーガは息絶えたのだった‥‥。
「はぁ、はぁ、はぁ、マジ疲れた…ブラッドオーガ強くね?死ぬかと思ったわ」
俺は納刀しながら息を整える。今の戦闘で服は所々破け、少し出血もしていた。
「痛ぇ‥‥あちこち血出てるし‥帰るとするか‥‥」
そう言って俺は森を出る。幸いにもレッドオーガのせいか辺りに魔物はおらず、すぐに帰路についた。ちなみにブラッドオーガは討伐部位がわからなかったので牙を折って回収しておいた。
森を出て街道をしばらく歩くと、王国の門が見えてきた。俺は戦闘によとて受けたダメージでダルい体を引きずりながら検問を通る。
「どうも‥‥トグサさん」
「ん?少年か‥‥って大丈夫か?!ボロボロになってるが⁉︎」
「あ~大丈夫です‥‥。ちょっと戦闘でやられただけですから」
「そ、そうか…気をつけろよ?ただでさえ死にそうな顔してるんだから。とりあえずギルドカードを出してくれ」
マサルは「一言余計だ」と思いながらギルドカードを渡し、門をくぐってギルドへと向かった。
ギルドに着いた俺はとりあえずニーナさんに報告しに行く。
「ニーナさん、依頼報告しに来ました」
「は、はい!で、では討伐部位を…ってマサルさん?!どうしたんですか?!」
「いやぁ‥‥戦闘でやられてしまって‥‥」
「えぇっ?!でも確か受けたのはゴブリンですよね…?まさか亜種ですか?!」
「いえ、それが途中でブラッドオーガってやつと遭遇してしまいまして…」
「ブ、ブラッドオーガ?!B〜Cランク相当の魔物じゃないですか!よく生きて帰ってこれましたね?!」
「そうなんですか。なんとか勝てましたよ。ボロボロですけど‥‥あぁ、それとブラッドオーガの討伐部位なんですがわからなかったので、とりあえず牙を持ってきました」
そう言ってマサルはゴブリンの耳と一緒に牙を渡す。
「わ、わかりました。鑑定してくるのでしばらくお待ちください」
そして待つことしばし、ニーナさんが戻ってきた。盛大にズッコケながら…
「……」
「お、お待たせしました!。こちらがゴブリン討伐の報酬銅貨六枚、そしてこちらがブラッドオーガの報酬金貨一枚になります!」
どうやら転んだことはなかったことには触れたらいけないらしい。報酬をもらい、お礼を言ってその場を去ろうとするといまだに羞恥で赤面しているニーナさんが呼び止めてくる。
「ま、待ってください!今回の討伐によってマサルさんの冒険者ランクの試験をスルーでDランクとなりました」
「えっ?でもランクを上げるには試験とかが必要なんじゃ…」
「普通はそうなんですが、Dランクまでは能力面に問題さえなければ試験はスルーなのでマサルさんは免除です」
「あっ、そうなんですか。わかりました。もう見ての通りボロボロなんで、そろそろ失礼します」
そして今度こそ帰って傷を癒そうと思い、出口へ向かおうとした時、視界の隅にデカイ図体をした二人の男に絡まれてる女の子を見つけた。
(ん?あの子はたしか…)
その絡まれてる女の子は昨日宿でぶつかった青い髪の綺麗な子だった。
(これは……テンプレじゃないか⁉︎となると俺が颯爽とあの子を助けるということか?)
そう思った俺は「心眼」で男二人のステータスを見る。
名前 : マッスール
Lv11
HP 200 / 200
MP 20 /20
攻撃力 : 95
防御力 : 70
素早さ : 70
命中 : 65
知力: 30
回避 : 40
幸運: 5
名前 : リゴラ
Lv9
HP 180 / 180
MP 15 / 15
攻撃力 : 80
防御力 : 50
素早さ : 55
命中 : 40
知力:20
回避 : 60
幸運: 5
(見事に見た目通りの名前だな‥‥だが、よし!これならボロボロでも勝てる!)
「彼女困って「おい姉ちゃんそんなこと言わずに遊ぼうや!」
俺の勇気を振り絞って出した第一声は男の声によって消された。
「あの‥「‥‥‥だからさっきから断ってる」
「すいま‥‥「そんなつれないこと言わないでさぁ~」
「話を‥‥「‥‥迷惑‥‥早くそこをどいて」
どうやら俺の声は女の子の方にも聞こえていないようだ。心が挫けそうになるが構わず声をかけ続ける‥‥が一向に反応されない。
「あのですね‥‥「飯奢るからさ!一緒にどっk」‥‥少しは話を聞けやゴラァ!!」
そしてようやく双方俺を認識した。
新しい技でてきたね。
マサル「まだまだあるぜ!例えば‥‥」
ネタバレだから禁止な!
マサル「それもそうか。ちなみに次は俺が颯爽と女子を助ける話だ!」
ないない‥‥(⌒-⌒; )