冒険者ギルド
俺は目を覚ますと朝食を食べるために一階へと降り厨房へ向かう。
「朝食お願いしていいですか」
「あいよー!」
俺が注文を頼むと厨房から体格のいいおっさん叫びながら出てくる。このおっさんの名前はダースさん。金の鶏亭の亭主で、昨日の女将さん(名前はメリダさんというらしい)とは夫婦で娘さんと合わせて家族3人で経営しているそうだ。
「お!誰かと思えば、昨日の礼儀正しい坊主か。今日は何食う?」
「今日もお任せで。あと昼食に弁当作って貰っていいですか?」
この金の鶏亭ではバーグさんが冒険者向けと言うだけあって、頼めば一食分の代わりに弁当を作って貰えるらしい。
「おうよ!今日のオススメはコルトファングだ!あと弁当の方は希望なけりゃ食いやすいもんにしとくけどどうするよ?」
「特に希望はないので、そちらもお任せします」
「わかった。つーか弁当っていうとどっか出かけんのか?」
ダースさんは俺にどこへ行くのか聞いてくる。
「これから冒険者ギルドに行く予定なんです」
「冒険者ギルド?依頼か?」
「いや、冒険者になるためですよ」
「そうか、坊主は冒険者になんのか。なら他の冒険者には気を付けとけよ。少数だが柄の悪い連中もいるしただでさえ坊主は貧弱な印象受けるしな。絡まれたら大変だ」
「(まーた、貧弱かよ!)一応、自分の身は守れるくらいの実力はあると思うんで大丈夫ですよ。それにいざとなったら逃げますから」
「そうしろ。そうしろ。まぁ、とりあえず飯できるまで部屋で待ってな!」
「わかりました」
俺は言われた通り部屋で待っていると、ほどなくして女将さんが料理を運んでくる。
俺はそれを受け取ると部屋にある椅子に座って黙々と食べ始めたのであった‥‥。
朝食を食べ終えて休憩し、時間を見ると昼少し前ぐらいだった。
「さてと、そろそろ行くとするか」
俺は身支度を整えて出かる用意し
宿の出口へ向かう前に受付に寄っていく。受付には女将さんが椅子に座っていた。
「すいません。もう一泊追加していいですか?」
「ん?ああ、昨日の。追加で銀貨一枚ね」
俺は女将さんに銀貨を一枚渡す。
「毎度あり。そういえばアンタ冒険者ギルドに行くんだって?気をつけるんだよ」
今度は女将さんに心配される。
「大丈夫ですよ。こう見えて逃げ足には自信ありますから」
俺は笑いながら女将さんに言うと冒険者ギルドへと向かった。
金の鶏亭から冒険者ギルドへはほぼ一本道なので迷うことなく着くことができた。
「ここが冒険者ギルドか‥。随分でかい建物なんだな」
俺は冒険者ギルドを見上げながら呟く。
冒険者ギルドは俺が想像していたものよりも遥かにでかかった。
(やっぱ冒険者ギルドってのは有名だからな。こんだけデカイのも当然か。ま、見ててもしょうがねぇし行くとするか)
そう思って冒険者ギルドに入るとまず目の前に複数の受付、そして受付嬢がいた。
(やっぱり冒険者ギルドってのは受付と受付嬢は定番なんだな。さてどの子の受付にいこうか。話がしやすそうな子がいいな)
そう思いながら比較的、話やすそうな印象の子を探す。
そして俺は猫耳を生やした子を見つけた。
(あれは‥‥まさか‥‥。そんな馬鹿な‥‥実在するというのか⁉︎だがここはファンタジー世界だ。ありえなくはない。よし、あの子にしよう)
俺は受付に歩いて行き話かける。
「すいません」
「はっ‥はい!なにか御用でしょうか!」
話かけた子は急に話かけられて驚いたようだった。
(ヤベェ…めっちゃ可愛いじゃねぇか!是非とも仲良くなりたいです!)
そんなことを思う俺だが元の世界でまともに女の子と話た経験がないのでそんなトークスキルはなかった。
「あ、はい。冒険者ギルドに登録をしに来たのですが…」
「は、はい!…と、登録ですか?」
と怪訝な顔を向けられる。
(あぁ、これは「こんなに弱そうなのに大丈夫なのだろうか?」みたいな感じだな…でもなぜだろう。この子になら何言われても許してしまう気がする)
「はい。登録料とか必要なのでしょうか?」
「だ、大丈夫です!初回発行は無料でできますので!と、とりあえずこれに記入をお願いします。代筆は必要でしょうか?」
「いえ、大丈夫です。出身地は書かないといけないのでしょうか?」
「名前と年齢以外は書かなくても大丈夫ですよ。後は自動的にプレートに表示されますから。書けたらこれに指を置いてください。血を採取するので」
そう言って猫耳の女の子は針のついた板を出してくる。言われるままに指を置き、チクッとした後、その板を奥の部屋へ持って行った。
「そ…それでは発行まで少々時間がかかると思いますのでギルドの説明をしようと思いますが、だ、大丈夫ですか?な、なんか私の顔についてるでしょうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。少しぼーっとしてただけなので(終始ビクビクしているこの子を見てほのぼのしてたなんて言えねぇ)」
それを聞いた女の子はホッとした表情で説明を始めた。
「まず冒険者にはランクというものがあります。
ランクはFランクからSランクの順で上がっていき、ランクが上がるほど実力の高さが求められ、依頼も危険なものになっていきます。
そしてSランクの上にSSランクがありますが、これは伝説になるような実力者しかなることができず現在はたった5人しかいません。
昇級の条件はそのランクでのある程度の実績と、ギルドの提示する試験
に合格することが必要です。
基本的に戦いを含む依頼ばかりなので注意が必要で、命は保証しません。
依頼の報酬の一部はあらかじめギルドが仲介料としてもらっているので税などは発生しません。
ランクがBランク以上になるとギルド側が優遇するサービスもあります。
ギルドプレートが貰え、それが冒険者としての身分証明になので紛失には注意してください。再発行には銀貨1枚が必要となります。
こんな所でしょうか?なにかわからいこととかありますか?」
「大丈夫です。特にありません」
「そうですか。あ、丁度プレートも出来たみたいです。こちらになります。えーと…マサルさん?冒険者ギルドへようこそ!これからよろしくお願いしますね!」
「はい。よろしくお願いします。えーと…」
「あぁ、自己紹介がまだでしたね。ニーナです」
「可愛い名前ですね。改めてよろしくお願いします。それで早速依頼を受けたいのですが…ニーナさん?」
ニーナさんは何故か俯いてしまっていた。猫ミミをすごくピクピクさせながら
(もしかして照れてるのかな?言われなれてなさそうだしな)
「あの~ニーナさん?」
「…は、はい!いいい依頼ですか?!それならあちらの依頼ボードから依頼をこちらに持ってきてください。こちらで受理しますので」
「わかりました。では、また後で」
こうして俺は晴れて冒険者になった。
女キャラ増えたね。
マサル「このまえまで男しかいなかったからな」
すいません。