詩『鵲−kasasagi−』
『鵲−kasasagi−』14/01/15
歩道に高くならんだ縁石を
君はたわむれの平均台にして
スカートの黒にうつろう時をはらませ
僕の前で軽やかに羽ばたいていた
足元の升目はひややかに過ぎゆき
張りつめた視線はねじれてすれ違った
君がこしらえた手編みのセーターは
僕には大きすぎたようだ
深く澄んだ瞳の横顔は
散り急ぐ木の葉をうつし
いずれ途切れてしまう縁石の上で
交差点までのあいだ
目を上げた後ろ姿に
木枯らしが優しくわた雪をのせ
カチカチと音をたてながら
わずかな晴れ間に白い毛糸をほどいた
足跡も空の色も残像にして