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 よく祖母(現在91歳、元気)に、「あんた、『目からおいで!』って顔しとるね」と言われます。

 要するに「目がデカい」。いや、目だけじゃなく、大学1年生の時に付き合っていた彼から顔をまじまじと見られ、「お前、顔のパーツパーツがデカいな」と言われたくらい、他もデカい。丸顔に大きな目鼻口。いわゆる「ハッキリした顔」です。

 そんな顔なので、下手に化粧をすると、たちまち「夜のお仕事?」と言われそうなケバい顔になります。なのでもうアイシャドウやアイライン、マスカラなどは一切せず、ファンデーションに眉書いて口紅だけ、という化粧品代のかからない、とても安上がりな顔でもあります。

 そんな自分の顔、まあ世間では「目が大きい=かわいい」と言われることも多いので、自分では気に入っていました。

 ところが。

 

 大学2年の時から付き合い始めて、私が「この人が運命の人だ!」と激しく思い込んだ彼がいました。2年間ほど付き合って、一度別れて、またヨリが戻って「結婚しよう」と言われたのが27歳の時。ちょうど仕事も辞めていた私は、もうすっかりその気になりました。

 でもその後だんだん彼とはかみ合わないことが多くなり、結局フラれてしまいました。

 その時に言われたのがこれ。

 「顔が嫌いやった」。

 は?と思った私に彼が続けて、

「僕、地味な顔が好きだから」。

 刺し殺そうかと思いました。電話だったから、私は犯罪者にならずにすんだのかも。

 その言葉を聞いた時には絶句して、彼に文句の一言も言えませんでしたが、電話を切った後から自分の心に吹き荒れる言葉の数々。

 顔が嫌いって、どういうことよ。顔なんか見たらすぐわかるじゃん!顔が嫌いなのに、なんで「結婚しよう」なんて言ったんだっ。

 くそーと思って、でも辛くって、そんなふうに彼を罵っている自分も嫌で、なんとか彼を許さなきゃと思う自分がいたりして。その辛さはしばらく続き、頭に円形ハゲができるほどでした。

 どうしたらいいんだろう。だって顔変えられないし。

 その頃は自分の顔が嫌いになって、鏡を見られませんでした。

 でもそうやってずっと彼のことを考えていて、ある時ふと思ったのです。

「そうだ、無理して許さなくていいんだ」と。

 私は彼を一生懸命許そうとして、ずっと彼のことを考えて、でも許せない自分が嫌で、という悪循環の中にずっといたのです。

 でも、そんなこと無理だ、と思った時、その循環の中からようやく抜け出すことができたのです。

 彼のことを考え始めて思考が悪い方向に行きそうな時、こう思うようにしました。

「私は彼を許さなくていい。そうよ、今度会ったらえいって刺し殺そうっと」

 本当に刺し殺したら大変ですが、心で思うのは自由です。なるべく軽く明るく思うようにします。

 そうしていたら、だんだん彼を恨む気持ちもなくなって、円形ハゲも治っていきました。

 

 この話を、目の細い、いわゆる「地味な顔」の友達にすると喜ばれます。ちぇっ。

 でも本当に、人の顔のことについては、この彼のように軽率な言葉は気をつけてもらいたいと思います。

 万が一だけど、刺されることになりかねませんよ…。




 

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